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10月12日


 十月十二日。

 町田青年は一度体の調子を崩すと、割と長引く方だ。


「はい、あー!」

「……あー」

「えへへーっ、えらいえらい!」


 だが確実に快方に向かうので、今日はメアリーに看病担当である。

 夢見が一人切り盛りしている状況に申し訳無さはあるものの、店をいつまでも閉めている訳にもいかないのである。


「まだなにか、あるー?」

「……いえ、もう、大丈夫です」

「そーぉ? じゃぁ、なでなでしたげるー」

「……はい」


 正確には、メアリーのそれはほぼ看病ごっこなのだが、子供に慈しまれるというのは、不思議な安らぎがある。

 寝汗でごわごわとなった髪を、小さく柔らかな手で梳かれるのは、なんとも言えない快癒であった。

 しかしながらメアリーに触れる度、町田青年の脳裏には、嘲笑う様に女史の言葉が浮かび上がっていた。

 まるで悪夢に怯える、子供の様な気分であった。


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