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10月11日
十月十一日。
町田青年は風邪をひいている。
「……おじちゃん、だいじょーぶー……?」
「えぇ……」
気怠げに、苦しげに呻きながらも、町田青年はメアリーを気遣ってみせる。
しかしながら、精神的な憔悴も含めて、彼は色々と限界でもあった。
只々申し訳無さから逃げたい、眠りにつきたいというのが本音である。
「ほーら。心配なのは分かるけど、そろそろ寝かしてあげなー」
「えーっ」
「……申し訳ありません、夢見さん。ご心配を」
「いーえ。今はゆっくり休んで、風邪を治してくださいな」
こういう時、メアリーを引き寄せてくれる夢見は心強い存在だ。
安心してメアリーを任せられる。思えば、町田青年はいつも彼女に支えられていた。
「……ありがとうございます」
「ふへへ、お大事に」
困った様に、頼られて嬉しそうに笑いながら、夢見は一階へ降りる。
町田青年は罪悪感を胸に秘めながら、一先ずゆっくり休むことにした。




