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10月7日
十月七日。
明日、いよいよ真実に近付く。
「……夢見さん」
「はい?」
「メアリーさんを、どう思いますか」
町田青年にも、不安はある。
それ故に、ぽつりと。町田青年は不安を吐露してしまった。
「どうって……いい子だと思いますよ?」
「そうですか……そう、ですね」
何気ない一言が、町田青年に深く突き刺さる。
そう、いい子なのだ。とても、いい子なのだ。
そんな女の子の事情を詮索する必要があるのか、真実を知らぬまま、その素晴らしい時間を甘受してもいいんじゃないのか。
そう、思いながら。町田青年は、ゆっくりと頷き続けた。




