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10月6日


 十月六日。

 出生を暴くという暗い決意はあるものの、町田青年はメアリーを詰問したり、無下に扱う真似はしなかった。


「はい、あー」

「あー……」


 メアリーの歯を磨く時も、丹念に、丁寧に。

 今までの感謝と慈愛のココロは、一時の疑念を挟もうとも、揺らぐことはないのである。


「……はい、大丈夫です」

「あぃがとー」


 頭を下げた拍子に、ぽたぽたとヨダレが垂れてしまう。

 そんな仕草にも、町田青年は苛立たず、寧ろ愛嬌さえ覚えているのだから。


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