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10月5日
十月五日。
驚くほど簡単に、アポイントは取れた。
『では、土曜日にお会いする形でよろしいでしょうか』
「はい」
日本にある窓口へ連絡したところ、すぐに担当者が名乗り出て、直接面会しようということになったのである。
やや神経質そうな担当者の声を聞きながら、町田青年はメモを取るべくペンを走らせていた。
「メアリーさんのこと、本当に、お話して頂けるんですね」
『えぇ。此処に電話がかかったということは、そういう時期ですから』
意味深な言葉。
その真意を、今問い質してしまいたい気持ちはあるが、聞いた所で答えはすまい。
「では、また土曜日に」
必ず真実を掴み取る。
暗い決意を抱きながら、町田青年は通話を切った。




