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10月4日
十月四日。
一晩の間、町田青年は調べ続けていた。
「……ILO。国際、労働機関」
目当てであろう組織は、すぐに見つかった。
ILO。メアリーが“いぉ”と呼んでいた、謎めいた組織。
その正体は百年前から続く、人民の労働と暮らしを司る機関。
国際労働機関だったのである。
「……何故?」
そこで、彼は疑問に思う。
何故、国際労働機関なる組織が、メアリーの背後にいるのか。
何を思って、メアリーを町田青年の下に贈ったのか?
考えれども、考えれども。疑問は尽きない。
「……行ってみなければ、わからないか」
百聞は一見に如かず。
であるならば、千想は百聞に如かずということも、また真理だろう。
直接謎と相対すべく、町田青年は携帯電話を手に取った。




