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10月2日
十月二日。
何気なく、聞いてみた。
「メアリーさん」
「なーに?」
「メアリーさんの誕生日は、いつですか?」
「んぅ?」
首を傾げられた。
それは、町田青年にも想定内であった。
メアリーは普通の子供でも知っている様なことを、知らないことも多くある。
ならば、誕生日というタンゴについて知らないということも、またあり得ることだ。
「メアリーさんが、生まれた日です」
「んー……しらない!」
「そうですか」
首を横に振られた。
それでも、町田青年には想定内であった。
メアリーは普通の子供とは言い難い。
どの様な出生か分からない以上、本人が知らないことは大いにあり得るだろう。
しかし。
「めーちゃんはね」
「はい」
「おきたら、おじちゃんちのまえだったよ!」
「!?」
この返答は、予想外であった。




