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10月1日
十月一日。
メアリーが来て、もう十ヶ月。
「十ヶ月、ですか」
町田青年は感慨深げに、そう独りごちた。
彼女が来てから、毎日が矢の如く過ぎる。
それでいて一日一日が豊かで、得難いものであるとも思えていた。
「何か、お礼はしたいですね」
日々の気持ちと、出逢えた奇跡を祝って。
一日を噛み締めながら、贈り物を欠かさずしたい。
「……そういえば」
ふと、その辺りで気付いた。
何気ない、しかし彼らにとっては、とても大事な筈のイベント。
「メアリーさんの、誕生日は……?」
誕生日、である。




