9月27日
九月二十七日。
きょうは、メアリーがねぼすけさんだ。
「……んぅ?」
起きたら誰もいない。それは、メアリーにとっては久し振りのことだ。
最初の頃はまだ大丈夫だったが、今となっては、厳しいものである。
「……おじちゃーん?」
呼んでも、町田青年は来ない。
耳をすませば、一階からざわめき声が聞こえるのだが、メアリーの小さな耳には届かなかった。
「……せんせー?」
呼んでも、夢見は来ない。
見上げれば、時計が夢見は大学へ出かけていると教えてくれるのだが、潤んだ目には文字盤が映らない。
「……うぇ」
さみしい、さみしい、ひとりはさびしい。
嗚咽が涙の防波堤を壊し、町田青年が慌てて駆け上がってくるまで、そう時間はかからなかった。
■メアリーの にっき■
きょうはね めーちゃん おねぼうさんだったの。
おきたらね だれもいなかったの。
だから めーちゃん さみしくて ないちゃった。
なみださん ひさしぶり。
めーちゃん さみしいの きらいになっちゃった。
まえは なれてたのにね。 なんでだろーね?
でも わるいことじゃないきがするんだ ふしぎ。
あしたは ちゃんと おきるもんね!
あしたもいいこと ありますように!




