9月23日
九月二十三日。
今日のメアリーは、夜更かしさんだ。
「……メアリーちゃん、そろそろ寝ましょう」
「もちょっとー」
「ううん」
気紛れに、町田青年が手渡した本。
『はてしない物語』と呼ばれる、紅い装丁のファンタジー小説。
その奥深く心躍る物語が、メアリーを本の世界に閉じ込めているのだ。
「明日も読めるでしょー?」
「いーまーよーむーのー」
「あらら。珍しく困ったちゃんね」
メアリーが駄々をこねるのは珍しいが、最近は冷えるので、ちゃんと布団をかぶって寝て欲しいのも事実だ。
困り顔の夢見に対し、町田青年は鷹揚に頷いて。
「では、ベッドの中で読みましょう」
「んぅ?」
「暖かいところで読んだ方が、楽しいですよ」
「……だっこしてー」
「はい」
ひょい、と抱き上げて、ベッドに寝そべった。
やれやれ、と頭を振りながら、夢見はせめて目を悪くしない様にと、電気スタンドをメアリーの方へ向けるのであった。
■メアリーの にっき■
きょうは おじちゃんに ごほんを もらいました!
ねばー えんでぃんぐ すとーりー! はてしない ものがたり!
めーちゃん とっても とっても おもしろくて ずーっと よんじゃった!
あしたも いーっぱい よもうかな。
でもでも おてつだい あるから どうしよう?
あしたもいいこと ありますように!




