9月22日
九月二十二日。
天気は悪いが、デートである。
「……えっ!?」
デートである。
誰がかと言えば、町田青年と、夢見と、あとメアリーだ。
混乱しながらも、なるべく華やかで似合う服を着てこれたのは、ひとえに普段から彼女がこなしてきた妄想が活きた結果だと言える。
早乙女夢見は、夢見る乙女なのだ。
「と、取り敢えず……これで大丈夫かしら?」
「せんせーかわいー!」
「……ありがと。メアリーちゃんも可愛いわよ?」
「えへへー!」
撫でてやれば、素直に微笑むメアリーが愛おしい。
しかしデートというからには、二人きりの方が好ましいが……ベビーシッターのアテもないのに、贅沢は言えないだろう。
「準備、出来ましたか」
「えっ、あっ、はい」
「できたよー!」
「良かった」
町田青年の薄い微笑みは、彼にとっての満面の笑みだと夢見は知っている。
知っているからこそ、その笑顔は彼女を魅了するに充分なのだ。
顔は赤らんでないだろうか。そういった不安の中、町田青年に手を伸ばされれば。
「行きましょうか、お出かけに」
「は、はい」
「はーい!」
手を取る他、ないのであった。
惚れた弱み、というヤツである。
■メアリーの にっき■
きょうは おじちゃんと せんせーと おでかけしたよ!
ちかくの えーがかんに いってきました!
おやすみのひだから いっぱい ひとがいたけど たのしかったよ!
えっとね きょうみたのは れんあいえーが!
あにめで れんあいで せーしゅん? なんか そんなかんじ!
おもしろかった! ちょっと きゅーっとするの! よくわかんないけど すき!
ちょっと おしゃれな れすとらんに いったりして せんせーは だいまんぞくだったよ!
おじちゃんも ちょっと うれしそうだった!
めーちゃんは とーっても うれしい!
あしたもいいこと ありますように!




