9月20日
九月二十日。
今日は、風の強い日だ。
それでも往々にして、買い出しというのは行わなければならない。
「ひゃーっ!」
「おお」
傘を差し、レインコートと長靴を纏ったメアリーが、強風に煽られ少しばかり浮かぶ。
町田青年はそれに若干目を剥くも、慌てて抱き留めることで事なきを得た。
「……スゴかった!!」
「メリー・ポピンズみたいでしたね」
「なにそれ!」
「素敵な淑女さんです」
「へぇー……!」
まるで童話めいた浮き上がり方に、思わず町田青年は思い出の女性を口にする。
メアリーはその「素敵な淑女」に、興味津々のご様子だ。
「……帰りに、ビデオ屋さんに寄りましょう」
「うんっ!!」
古い映画を観るのも、悪くない。
大変な買い出しを終え、仕事を終えたなら、素敵な夜を過ごそうと思う、町田青年であった。
■メアリーの にっき■
きょうは めりーぽぴんず みたよ!
すてきな メイドさん! すてき!!
めーちゃん かさで とんだけど めりーぽぴんずさん もっと すごいの!
とっても たのしかった!
めーちゃんも めりーぽぴんずさんみたいに おそら とびたいな!
あしたもいいこと ありますように!




