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9月3日
九月三日。
町田青年には、こだわりがある。
「……よし」
それは、食器磨きだ。
食事や飲み物を出す以上、彼にとっては一片の汚れも許し難い。
「夢見さん、どうぞ」
「はいはーい」
故に、白磁の皿には一片のシミも曇りもなく。
真っ白でなくてはならなかった。
それが、町田青年のこだわりである。
「めーちゃん、おさらあらいするー?」
「ダメです」
「えー」
「自分の仕事です」
こればかりは、メアリーにも譲らない。
割ってしまったら危ないし、何より拘りだからだ。
「……食器洗い機の方が効率いいと思うんだけどねー」
「ねー」
「ダメです」
こだわりだから仕方がないのであった。
■メアリーの にっき■
おじちゃんは おさらあらい だいすきだよ!
いつも ふきんで ふきふき きゅっきゅ してるの!
でもでも めーちゃんには きゅっきゅ させてくれないの。
めーちゃんも きゅっきゅ したいな!
あしたもいいこと ありますように!




