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9月1日
九月一日。
メアリーがやって来て、九ヶ月が経った。
「もう、長いお付き合いですね」
「そーなの?」
「はい」
「そーなんだっ」
九ヶ月。
人と人が暮らし合うには、短いようで長い時間である。
特に、見ず知らずの幼女と暮らす時間としては、とても長く、濃密であった。
「……これからも、よろしくお願いしますね」
「うんっ!」
町田青年は悩みを吹っ切る様に、彼女の頭を撫でる。
彼女が何処から来て、何処へ行くのか。
行かないで欲しいが、恐れることはすまい。
「……えへへ。げんき、でた?」
「はい」
「よかった!」
それが彼女の選択ならば、全てを受け入れよう。
町田青年は、そう決意した。
■メアリーの にっき■
おじちゃんの げんきが ちょっと でたよ!
めーちゃん なでなでした おかげかな?
でもでも なでなでして めーちゃんも げんきでたよ?
めーちゃんが げんきなのに おじちゃんも げんき。
ふしぎだね!
あしたもいいこと ありますように。
おじちゃんが げんきで ありますように!




