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8月30日
八月三十日。
祈りは、届いた。
「……わぁーっ……!」
たまたま、台風の軌道が逸れただけかもしれない。
気象学に基づいた、あり得る“偶然”なのかもしれない。
どこかのだれかにとっては、取るに足らないことかもしれない。
「……すっごーいっ!!」
だが、その取るに足らない、今日の天気は。
メアリーにとっては、まさに“奇跡”だ。
腕いっぱいにてるてる坊主を抱えながら、メアリーは空を見上げる。
「晴れましたね」
「うんっ!」
「……良かったですね」
「うんっ!!」
空を彩る夕日は、てるてる坊主が作った“奇跡”なのだと。
メアリーは純粋に、信じていた。
■メアリーの にっき■
きょうは てるてるぼーずさん がんばりましたっ!
ゆーひ! ゆーひ みれたよ!! すっごいね!!
それに あつくなかった! すずしかった!!
てるてるさん すごい! さすが! えらい!!
てるてるぼーずさん ありがとーございました!
おかげで きれーな ゆーひ みれたよ!!
あしたもいいこと ありますように!




