8月27日
八月二十七日。
今日の町田青年は、ひたすらにパンを揚げていた。
「揚げパン追加でーす!」
「あげぱんふたつでーす!」
「は、はい」
戯れにメニューに追加した手作り揚げパン。
それが在りし日の給食に似ていると好評で、見る人見る人揚げパンを頼む事態に陥ってしまったが為である。
なまじ要領よく工程を行え、大量の注文を捌けてしまう為に起きた悲劇であった。
「……っふぅ」
何とかパンを揚げ終え、町田青年は溜息をつく。
残り一時間。この分ならもうコッペパンを揚げる必要もあるまいと、そっと汗を拭い……。
「ラストオーダー入りまーす!」
「あげぱんいつつでーっす!」
「……はい」
……ラストオーダーの存在を忘れていた為に、深い溜息をつくこととなった。
揚げパンが数量限定メニューになった瞬間であった。
■メアリーの にっき■
きょうは いっぱい じゅーじゅーしてたよ!
おじちゃんが あげぱん ずーっと あげてたの!
じゅーじゅー じゅーじゅー じゅーじゅー。
うるさい! でも おもしろいね!
でもでも おじちゃんが つかれちゃうから
あげぱんは いちにち にじゅっこまでなんだって。
おじちゃん おつかれさまでしたっ!
あしたもいいこと ありますように!




