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8月24日
八月二十四日。
メアリーは、新しい遊びを憶えた。
「ぎゅーっ!」
「おお」
抱きつき遊びである。
力いっぱい抱きつき、いつまで抱きつき続けられるかを競う遊びだ。
無論、個人競技である。そして、メアリー考案でもある。
要は暇潰しだった。彼女に甘えられたい客にとっては、極上のサービスだが。
「はーち、くー……じゅっ!」
「あら、もう終わり?」
「しんきろくだからっ!」
「そっかぁ、凄いわねぇ」
「えへへー!」
ぎゅう、と抱きつけば構ってもらえる。遊んでもらえる。
そんな遊びが、メアリーは大好きであった。
■メアリーの にっき■
きょうは ぎゅーっして あそんでたよ!
ぎゅーってしてると あついけど たのしいの!
ほめてくれたり なでなでしてくれたりするよ!
うれしい!
でもでも おじちゃんには ぎゅーって できないの。
おしごと おじゃましちゃうと いけないもんっ。
でもでも ぎゅーって したいな。
あしたもいいこと ありますように!




