8月23日
八月二十三日。
嵐が過ぎ去って晴れるかと思いきや……割とそうでもない。
「くもり!!」
「あらあら」
曇天の満ちる景色は、メアリーのお好みには合わないらしい。
ぷーっと頬を膨らませるメアリーを撫でながら、夢見は窓枠に吊るされたてるてる坊主を見上げた。
「てるてる坊主さん、効果無かったわねぇ」
「うー……」
恨めしげにてるてる坊主を睨みつけるメアリー。
そんな人形たちを擁護するのは、外を掃除していた町田青年であった。
「いえ、そうでもないかと」
「えー?」
「てるてる坊主って、晴れにするものじゃないんですか?」
「相手は、台風ですから」
そう、さしものてるてる坊主三銃士といえど、相手は凶悪無比な台風である。
彼らの尽力あってしても、曇が限界。いや、二日連続の大雨でない辺りまだマシなのだ、と彼はやや大袈裟に言う。
彼なりの冗談であったが、メアリーには真の如く聞こえた様で……。
「……おつかれさまでしたっ!!」
「あらあら」
……御丁寧に、労いの声をかけるメアリーであった。
■メアリーの にっき■
てるてるぼーずさんは がんばりましたっ!
くもりっ! あめ ぱらぱらってふったけど くもりっ!
てるてるぼーずさんが がんばった おかげですっ!
てるてるぼーずさん ありがと!
また がんばってねっ!
あしたもいいこと ありますように!




