8月17日
八月十七日。
今日は、東京へ帰る日だ。
「ばーいーばぁーい!!」
送り出してくれた旅館の従業員へ、メアリーは精一杯手を振ってさよならする。
微笑ましいやり取りに従業員も、町田青年達も微笑んだ後、車で旅館を発った。
「……楽しかったわねー、メアリーちゃん」
「うんっ! たのしかったーっ!」
「それは良かった」
日焼けに痛む背を我慢しながら、町田青年は運転に集中する。
行きはよいよい帰りは怖い。
ただでさえ渋滞が予想される帰り道、事故などあっては目も当てられないのである。
「しばらく、車で移動になります」
「めーちゃん、ごほんよむ!」
「あー……」
「酔っちゃうといけないから、しりとりでもしましょう?」
「はーい!」
加えて、子供は体調を崩しやすい。
車酔いやトイレなどは、細心の注意を払うべきであった。
「じゃぁ、じゃぁ、めーちゃんからね! えーと……りす!」
「す? す……スイカ!」
「カラマリフリット」
しりとりをしながら、パーキングエリアまでの距離を確認する。
町田青年にとっては楽しみながらも、油断はできない帰路であった。
■メアリーの にっき■
きょうは おうちに かえるひだよ!
おくるまで みんなで しりとりとか した!
おじちゃん いっぱい ことば でてきて すごいの!
おじーちゃんみたい!
めーちゃんも いっぱい おことば だせるよーに なりたいな。
あしたもいいこと ありますように!




