225/326
8月12日
八月十二日。
今日はレジャー用品、それも遊び道具を買い求めに、ショッピングモールへとやって来た。
「うきわ!」
「今日はメアリーちゃんの浮き輪を買おうねー」
「めーちゃんのうきわ!?」
「はい。欲しい玩具があれば、それも」
「やたっ!」
そう言われるなりメアリーは、はやくはやくと町田青年と夢見を急かす。
二人は軽く微笑んで、さも仕方なげに歩き始めるのであった。
「めーちゃんね、めーちゃんね」
「はい」
「おふねみたいなのがいいのっ!」
「ゴムボートかしら?」
「……かしら?」
「探してみましょう」
「みましょー!」
調子の良いオウム返しは、子供にだけ許される特権だ。
そんな微笑ましい彼女を肩に乗せ、町田青年はゆっくりと目的の店へと向かった。
■メアリーの にっき■
きょうは うきわと ボートと ぼーるとか いっぱい! かいました!
おふろで あそべる おもちゃもかったよ!
おふろで ぷかぷかする あひるさん!
へんなかお だけど かわいい!
めーちゃんね これ すき!
あしたは はやねして はやめにでかけるの!
あしたもいいこと ありますように!




