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8月9日
八月九日。
喧々諤々の大議論の末、町田青年と夢見は結論を出した。
「海です」
「うみー?」
「海よ」
「うみー!」
そう、海である。
ゴールデンウィークが山なら、やはり次は海だろう。
何より夏場でも海辺なら比較的セミが少ないことが、二人に海を選ばせた。
全てはメアリーの為の旅行である。その主役が怯える場所に連れて行っては世話ないのであった。
「うみって、どんなの?」
「広いです」
「ひろい!」
「大きい水たまりよ」
「みずたまり!」
すごい! とはしゃぐメアリーを見て、やや寝不足気味の二人は顔を見合わせて微笑む。
考えた甲斐があったと、寝ぼけた頭で何を用意すべきか考え始めるのであった。
■メアリーの にっき■
こんど うみに いきます!
うみ! めーちゃん みたことない!
うみって どんなんだろ? おっきいのかな?
おふろより プールより おっきいのかな?
そんな おっきいの あるなんて すごいね ちきゅう!
こんどの にちようびから いくんだって! とっても たのしみ!
あしたもいいこと ありますように!




