8月3日
八月三日。
昨日のセミは、無事町田青年に撤去された。
しかし、メアリーはお散歩に行きたがらず、喫茶店から離れようとしない。
「メアリーさん。買い出し、行きませんか」
「……やー」
「あらあら」
窓の外を見て、首を横に振るメアリー。
そんな彼女に、困ったように、愛おしむ様に顔を見合わせる二人。
セミを怖がる彼女には申し訳ないと思いつつも、駄々をこねるメアリーというのは、町田青年達にとっても珍しいのだ。
「では、夢見さんとお留守番、ちゃんと出来ますか」
「……できる」
「はい」
とはいえ、申し訳なく思っているのは彼女も同じの様で。
俯いた小さい頭を、町田青年は優しく撫でるのであった。
■メアリーの にっき■
きのうは セミさんのこえが こわかったから にっきかかないで ねちゃった。
でも きょうも やっぱり こわかったから ずっと おうちにいたの。
おじちゃん あついのに おそとで おかいものなのに。
めーちゃんも おてつだい してあげたかったのに。
セミさんが ころんってしてるの なんかね こわいの。
なんなんだろうね。 こわいね。
あしたは みんなで おでかけだって。
あしたもいいこと ありますように。




