7月16日
七月十六日。
今日も涼しい一日である。
「……なーに、それー?」
「小型扇風機だよー」
「せんぷうき!?」
昼下がり、メアリーはお客の一人が取り出した小さな道具に興味を示す。
それは手のひらサイズの、小さな小さな扇風機であった。
しげしげと眺めるメアリーに、お客は手のひらに握らせながら、説明を始めた。
「これはね、ここを押すと……ほら!」
「おー!」
ふぃふぃという軽い音と共に、扇風機は柔らかい羽を回し始める。
すると僅かだが、そよ風がメアリーの頬に当たり始めた。
「すごい!」
「スゴイでしょ。それ、メアリーちゃんにあげるー」
「ホント!?」
「うん。これで扇ぐの楽でしょー?」
「うんっ! ありがと、おねーさん!」
メアリーは貰い物のミニ扇風機を抱きかかえ、満面の笑みを浮かべる。
こうした貰い物が多いのも、メアリーの人徳であった。
■メアリーの にっき■
きょうは ミニせんぷうき もらっちゃった!
ミニせんぷうきは ちっちゃい せんぷうき!
すいっち おんすると ふぃふぃ かぜが でます!
これで めーちゃん あおぎがかり かいてきだね!
うちわと あわせれば もっと かいてきかな?
おねーさん ありがとう!
あしたもいいこと ありますように!