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7月12日
七月十二日。
今日は、漫画本を読んでいる。
「……おー!」
「綺麗な、絵ですね」
「ねー!」
読んでいるのは町田青年であった。
彼の手には、彼には珍しく少女漫画が収まっている。
無論、夢見の持ち物であり……彼女が忘れていった単行本であった。
「おねーさん、かわいいねっ!」
「はい」
暇潰しに読んで見たところ、これが中々奥深い。
少女漫画というからには華々しい絵柄と内容かと思っていた町田青年であったが、実際は趣きのある絵と展開で魅せてくるのだ。
平日の暑い昼には客も入らぬものだから、つい、つい。
「……おもしろいねーっ!」
「はい」
時間を忘れて読み耽ってしまう二人であった。
■メアリーの にっき■
きょうは しょーじょまんが よんだよっ!
おねーさんと おにーさんの おはなし!
ちょっと さみしかったけど おもしろかった!
でもでも せんせーには よんだこと ナイショなんだって!
せんせーに おもしろかったって おしえてあげたいのに なんでだろーねっ?
ま いっか!
あしたもいいこと ありますように!




