7月8日
七月八日。
今日は、少し風変わりな物を購入してきた。
「……なにこれー?」
「うなぎ」
「うなぎ?」
「に、似せた物です」
「にせもの?」
町田青年が買って来た物。
それは、うなぎによく似せた、魚のすり身であった。
初めて見る魚っぽい何かを、メアリーはしげしげと眺めている。
「そろそろうなぎの季節ですし、試しに買ってみようということになりまして」
「本物を食べる前の予行演習ってヤツねー」
「へぇー……!」
どんな味がするのか。
興味が尽きない様子のメアリーは、口から溢れる涎をごくり、と飲み干した。
本物の味を知る大人達は苦笑いを浮かべながらも、酒の肴には良いだろうと微笑み合う。
「取り敢えず、蒲焼きらしくうな重もどきを作ってみますね」
「「はーい!」」
うなぎは夏バテ防止に良いと聞くが、果たしてその偽物は何処まで役立つのか。
どれだけ美味しいのか笑い合いながら、メアリーは楽しそうに待ち侘びていた。
■メアリーの にっき■
きょうは うなぎの にせものを たべたよ!
うなぎの にせもの! かまぼことか ちくわの しんせき!
めーちゃん うなぎ たべたことないから よくわかんなかったけど おいしかったよ!
おじちゃんは こんどは ほんものの うなぎさんを たべようって いってたよ!
たのしみだね!
あしたもいいこと ありますように!




