7月7日
こういう日はうっかり忘れそうになる。
でも忘れてないと素敵だよね。
七月七日。
今日は、七夕だ。
「たなばた?」
「はい」
「笹の葉を飾って、短冊とかを飾るのよ」
「へぇー……っ!」
興味津々、といった顔でメアリーが笹を見上げる。
市販の細い物やプラスチック製ではなく、立派な笹が一本。
「……おっきいねぇ!!」
「夢見さんの御両親に、感謝ですね」
「いきなり送られて来た時はビビリましたけどね……」
これは今日の昼、夢見の実家から贈られた物である。近々御礼を言わなければと予定を纏める町田青年をよそに、夢見とメアリーは手分けして飾り付けを施していく。
「短冊には願い事を書くのよ」
「ねがいごと?」
「そそ。願い事が叶うおまじないなの」
「そーなんだっ!」
短冊とペンを渡されて、うーんと、うーんと、と思い悩むメアリー。
そんな彼女の横で、町田青年はさらさらと短冊に文字を書き上げた。
「何お願いしたんです?」
「無病息災家内安全」
「ま、マジメ……」
面白みのない願いだが、それこそが町田青年の真摯な願いであった。
次いで、メアリーが「できた!」と声を上げる。
「おっ、何書けたのかなー?」
「ないしょー!」
「ふーん、じゃぁ私もナイショー」
「えー!?」
自分のことを棚に上げて、ずるいずるいと夢見の短冊へ手を伸ばすメアリーを敢えて無視して、夢見は笹の一番高い所に、メアリーの物と一緒に括りつける。
町田青年が気になる様な顔をしていたが、誰にも見せる訳にはいかない。
これこそ、夢見の最も叶えたい、願いなのだから。
■メアリーの にっき■
きょうは たなばた!
ささのはに たんざく つけて おねがいしました!
めーちゃんは みんなと いつまでも いつまでも いっしょに いられますよーにって おねがいしたよ!
ひこぼしさまも おりひめさまも くもで かくれちゃったけど かなえてくれるかな?
かなえて くれるといいな!
あしたもいいこと ありますように!




