6月20日
六月二十日。
今日は、ちょっとしたニュースで話題になっていた。
「ぶいあーる?」
「ヴァーチャル・リアリティよ」
「ぶぁーちゃる?」
「仮想現実、とも言います。最近発展している、新しい技術ですよ」
ネットニュースを眺めていた夢見の背中で、メアリーが首を傾げる。
ヴァーチャル・リアリティ。
フィクションでは有名だが、未だ一般化には遠い技術……と言われていたのは数年前のこと。
今やゲームとして技術導入され、一般家庭にも届こうとしているのだ。
時代は変わるとは言うものの、その目まぐるしさに感嘆を覚える町田青年である。
「感嘆に言うと、テレビの中に入れる技術です」
「テレビのなかに!?」
「そうそう。あのテレビの中に入って、番組を観れるの」
「すごい!!」
極端に掻い摘んだ説明にさえ、メアリーは目を輝かせる。
実際、技術が進歩すれば不可能なことではないだろう。
彼女の頭のなかで広がる突飛な空想でさえ、後数年で実現化も夢ではない。
「……いつか我が家にも、VR製品が来るかもしれませんね」
「ホント!? いつ!?」
「いつか、です」
「そっかー……!」
未だ高い技術であるものの、その期待度は大きい。
メアリーもその期待と同じ程に、未知なる技術を待ち望んでいた。
■メアリーの にっき■
きょうは ぶいあーる っていうのを おしえてもらったよ!
ぶいあーるは ぶぁーちゃる・りありてーっていうの!
テレビのなかに はいれるんだよ! すごいね!
いつか めーちゃんちにも くるかなー?
たのしみ!
あしたもいいこと ありますように!