6月9日
六月九日。
降りそうで降らない日は、外には行き難い。
「なので、図書館に来ました」
「としょかん!」
なので町田青年達は、屋内で沢山の本が読める、図書館に来たのだった。
町田青年としてはやはり、貴重な文献も読める国立図書館が一番なのだが、メアリーの都合上、近場で大きな図書館に行くことにした。
ここなら子ども向けの本も多い為、一緒に読んで楽しむことも出来るだろう。
「……ごほん、いっぱい!」
「何か、読みたいものはありますか?」
「んー……あ、あれ!」
「……紙芝居」
メアリーが指差したのは、可愛らしいイラストの紙芝居であった。
一体誰が寄贈したのか、紙芝居セットが一つのコーナーとなっており、メアリーはそれを物欲しげに、読んで欲しそうに見つめている。
こういう時にノリの良い夢見は、既に漫画コーナーへ向かっている。
町田青年は少しだけ唸り。
「……昔々、あるところに」
愛らしい観客の前で、今日一日を潰して紙芝居を演じる覚悟を決めたのだった。
■メアリーの にっき■
きょうは としょかんで かみしばい いっぱい みたよ!
おじちゃんが かみしばい してくれたの!
すっごく シブい こえ! すごい!
さいしょは めーちゃん だけだったけど ほかにも いっぱい ほかのこが きたよ!
めーちゃんだけの かみしばいも うれしいけど おじちゃんが だいにんきなの わるくないね!
おじちゃん おつかれさま!
あしたもいいこと ありますように!