6月5日
六月五日。
「……では、行ってきます」
「「いってらっしゃーい!」」
今日は、町田青年が買い出し当番だ。
必要な物を手帳に書き込み、彼は悠々と買い物に出かける。
しかし、今日は必要な物を買うだけではない。
「……貯金をしておいて、良かった」
二人のために、アクセサリーを買いに行くのだ。
自分用のお金を貯めておいて良かったと思う、町田青年であった。
***
スラッシャー上三が選んだ店は、その巫山戯た風体に反し、シックで落ち着いたアクセサリー店であった。
ともすれば高級感すら感じるものの、ショーケースに並ぶ銀細工は上から五万、下から数千円と手の届かない値段ではない。
「……どの様な物が良いのか」
とはいえ、この手の装飾店に町田青年が行くかといえばそうでもなく、芸術の心得はあれども、女心の心得は欠片もなかった。
珍しく決めあぐねていると、その雰囲気を感じ取ったのか、アクセサリー店の店員が話しかけてきた。
「何か、お探しですか?」
「え、あぁ……その、あー……」
問いに対して、まさか「急に同棲することになった幼女と後輩の為のアクセサリーを探しています」などとは言えず、町田青年は言いあぐねる。
少しばかり考えて、町田青年は一言。
「家族へのプレゼントを、探しています」
と答えた。
■メアリーの にっき■
きょうは おじちゃん とーばんのひ!
めーちゃんと せんせーは がんばって おりょーり つくります!
こーひー ごりごり なれてきたよ!
めーちゃんの こーひー! おいしいかな?
おじちゃんが かえってきたら なんだか ごきげんだったの!
おりょーりも すっごくおいしい!
なにが あったんだろーね? きになる!
あしたもいいこと ありますように!