6月1日
六月一日。
メアリーがやって来てから、五ヶ月の時が過ぎた昼。
「……それはね、メアリーちゃん。先輩相手には悪手よ」
「!?」
メアリーは折角の秘策を、他ならぬ相談相手にへし折られていた。
夢見の素気ない返答に、彼女はなんでなんでと大慌てである。
「せんせーは、おじちゃん、ビックリさせたくないの!?」
「ううん、ビックリはさせたいわよ。あの仏頂面がポカーンとしてるとか超見たいわ」
「なら、なんでー!?」
「やり方が悪いからよ」
夢見はしたり顔で頷くと、メアリーに耳打ちする。
そのこそばゆい内容は……メアリーの顔を、瞬く間に輝かせた。
「……それでいいのっ!?」
「良いの良いの。きっとこれで、先輩はビックリするわ」
「わかった!!」
「決行は明日。明日よ。いい?」
「うんっ!」
二人は如何にも悪巧みといった笑みを浮かべながら、キッチンの片隅で囁き合う。
「……聞こえてるんですが」
そんな二人を見ながら、町田青年はやれやれと苦笑した。
■メアリーの にっき■
きょうは わるだくみ したよ!
あした すっごい おどろき するの!!
ないしょ! ないしょ! めーちゃん にっきにも かきません!!
あしたもいいこと ありますように!
せいこー しますよーに!