5月10日
五月十日。
少しだけ、メアリーのやる気が下がっていた。
「むにゃ……」
「……眠いですか」
「んーん……」
元気がない、というよりも、だらけていると言った方が正しい。
珍しいことにダラダラと、メアリーはお手伝いを続けているのだ。
気力のないとぼけ顔も可愛らしいが、疲れているなら休ませた方が良いと町田青年は判断する。
「お昼寝、してきて良いですよ」
「んーん……」
「メアリーさん?」
「やるのー……」
言葉は健気なものだが、その首はこっくりこっくりと船を漕いでいた。
仕方がないと、町田青年は客に了解を取った後、メアリーを抱き上げて二階へ登る。
「やー……」
「寝ましょう。寝てから、お手伝いしてください」
「やーんー……」
「大丈夫、大丈夫」
「んぅー……」
しばらくぐずっていたメアリーだったが、やがてウトウトと瞼を閉じ、眠りに着いた。
ぐっすり眠ってしまったメアリーを撫でて、町田青年が薄っすらと微笑む。
「メアリーさんが元気なだけで、皆大助かりなんですよ」
「むにゃ……」
だから、安心して寝ててくださいね。
その言葉が聞こえていようといまいとも、町田青年には語りかけるべき言葉であった。
■メアリーの にっき■
きょうは なんだか とっても ねむねむだったの。
でも おてつだい がんばりたかったの。
でもでも おじちゃんが ぽんぽんしてくれたら ねちゃった。
ぐっすり。 きもちよかった。
でも もっと おてつだい がんばりたかったの。
ほんとだよ?
だから きょうは ぐっすりねて あした がんばります。
あしたもいいこと ありますように。