4月30日
四月三十日。
今日は閉店後、少しだけ話し合いとなった。
「りょこー?」
「はい」
卓袱台の上に置かれていたのは、幾つかの写真のプリント。
それをしげしげと眺めるメアリーに、夢見は改めて説明する。
「明日からお店をお休みにして、ちょっと遠くへ出かけようと思うの」
「おでかけ!?」
「そうそう。明日は準備して、明後日から四日間ね」
既に閉店の旨は常連客や上三、その他業者や近所には伝え終えており、行く分には問題ない。
懸念する所があるとすれば……。
「メアリーさんは、旅行に行きたいですか?」
「いきたーいっ!」
「はい」
……メアリーが反対することだったのだが、それも問題なくなった。
では何処に行こう、といったところで、夢見が説明を続ける。
「キャンプ!」
「きゃんぷ!?」
「キャンプ場で寝泊まりします! 山に登ったり川に行ったりします!」
「すごい!」
すごいすごい! とはしゃぐメアリーを、夢見がぎゅーっと抱きしめて撫で回す。
きゃっきゃうふふといった空気を見つめながら、町田青年は何を準備すべきか、改めて考え直すのだった。
■メアリーの にっき■
きょうは きゃんぷの おはなししたよ!
きゃんぷは おとまりです!
やまにいったり かわにいったりします! すごい!
あしたから おみせを おやすみにして いーっぱい あそぶの!
あしたは きゃんぷの じゅんび! たのしみ!
あしたもいいこと ありますように!




