4月29日
四月二十九日。
今日からGW。ゴールデンウィークである。
とはいえ、特に予定のない町田家は、今日も今日とて店を開け、そしてそこそこの客を相手にし、いつも通り閉店した。
今はメアリーも寝静まり、町田青年と夢見、二人だけの時間である。
「……私達はどっか出かけないんですか?」
「どうしましょうね」
「ゴールデンワーキングはちょっとカンベンです」
「ははは」
困ったように笑いながら、町田青年はパソコンを開く。
実は、一応考えてはいるのだ。
「少しだけ、遠くへ旅行なんてどうでしょう」
「遠くへ、ですか?」
「はい」
メアリーと相談する考えもあったが、世間知らずの彼女に、日本の何処に行きたいと言っても答えられないだろう。
ある程度のピックアップを行った上で、相談をするつもりだと彼が答えると、夢見は楽しげに頷いた。
「じゃぁ、何処にしましょうか? 海とか山とか、漠然と分かるのが良いですよね?」
「海はまだ寒いと思いますし、山辺りが良いのではと考えているのですが」
「ハイキングですか!」
「キャンプでも良いですね」
このシーズンなので、空いている所は少ないだろうが、最悪日帰りでも構うまいと頷き合う。
そこまで大きな予算がある訳でもないのだ。
努めて声を抑えながら、彼らは何処が良いか、夜遅くまで話し合うことにした……。
■メアリーの にっき■
きょうから ごーるでんうぃーくなんだって!
おやすみ いっぱいのひ!
だから みんな おやすみいっぱいなんだって!
でも おじーちゃんは おやすみできないんだって!
かんづめ? らしいよ!
しょーせつかさんって たいへんだね!
あしたもいいこと ありますように!




