1月12日
たまごボーロ系小説です。
メアリーは目を開けて、また目を閉じた。
「……うー」
メアリーは、夢を見ている。
町田青年と一緒に暮らす前の、「おうち」の夢を。
“さぁ、良い子になりましょう”
「やだぁ……」
白い白い、白亜の部屋。
その真ん中で、メアリーは固定されている。
“良い子になりましょう。お行儀のいい、良い子に”
「やだぁ、やだぁ……っ」
天井には画面が設置され、目まぐるしく映像が走る。
それをただただ見続ける。全て覚えるまで、ずっと、ずっと。
言葉の意味も、映像の意味もわからず。
ずっと、ずっと、見続ける。
“都合のいい、良い子に”
「やだぁーっ……!」
こんなの嫌だ。こんなのもう嫌だ。
そう思うメアリーの為に。
『……ごめんなさい、メアリーさん』
「……う?」
固くとも優しい、血の通った声が、白亜の部屋を掻き消した。
後に残るのは、風の吹く野原と。
「……わぁっ!」
何処か優しげで、おぼろげな影であった。
影はメアリーの拘束を外し、ゆっくりと頭を撫でる。
『もう、大丈夫ですよ』
「うんっ!」
影に連れられ、メアリーの身体は宙を舞う。
空へ、高く、高く。町を見下ろして、世界は遠くへ。
『では、そろそろ、お時間です』
「うん! ありがと――……!」
ゆっくりと空へ昇りながら、メアリーは手を振る。
大きく、大きく。感謝を込めて。
***
一月十二日。七時。
メアリーは優しい揺さぶりにより、夢の海から浮き上がった。
「……んぅ?」
「起きてください。朝ですよ」
固い声と共に揺さぶられ、意識がはっきりとする。
メアリーの大好きな朝。ひとりぼっちじゃない朝だ。
「……おじちゃん!」
「はい」
「おはようございますっ!」
「はい、おはようございます」
大きな手のひらが、優しくメアリーの頭を撫でる。
その暖かさが、メアリーの寒さを和らげて。
「……おじちゃん!」
「はい?」
「だいすきっ!」
「……そうですか」
メアリーは太陽よりも尚、明るい笑みを見せた。
■メアリーの にっき■
きょうはちょっと こわいゆめをみたよ。
でも なにをみたか わすれちゃった。
でもでも こわいゆめだから わすれてもいいかな。
さおとめに きいたけど こわいゆめをたべちゃうどうぶつがいるらしいよ。
「ばく」っていうんだって。 ばくばくーってたべちゃうんだって。
めーちゃんのゆめ、ばくさんがたべちゃったのかな。
つぎは おいしいゆめを ごちそうしなくちゃね。
こわいゆめの はなししたら おじちゃんが きょうはいっしょに ねましょうねって いってくれたよ! うれしい!
いまは おじちゃんのうでまくらで にっきをかいてます。
きょうはぐっすりねむれそう!
あしたもいいこと ありますように。




