4月23日
四月二十三日。
一日遅れて、注文した物が全て届いた。
「……りゅっく!」
「非常持出袋、と言います」
「ひじょー、もちだし?」
「もしもの時に持っていく物、ってことよ」
「へぇー!」
真っ白で四角いリュックサックを、ぺたぺたと触りながら、メアリーは検分する。
町田青年がそのチャックを開くと、中には防災グッズがこれでもかと詰め込まれていた。
「水と乾パン、手回し式のラジオ付きライトにアウトドアナイフ……」
「……いっぱい、いーっぱいはいってるねー!」
「これで一人分って……スゴイですね」
「三人分ありますので、持ち出せる所に置いておいてくださいね」
「「はーい!」」
それぞれ持ち出しやすい所……夢見は玄関脇、メアリーはおもちゃ箱の隣に置く。
町田青年は厨房の、災害備蓄品の隣に置いておいた。
「これで、あんしん?」
「防災訓練もしなきゃだけどねー」
「ぼーさいくんれん!」
「何かあった時に、どう動くかのお勉強です」
「なるほどー!」
ぽん、と手を叩くメアリーの頭の中では、恐らく物凄い光景が繰り広げられているのだろう。
くすりと笑いながら、夢見は彼女の頭を撫でた。
「今度皆でやろうね」
「うんっ!」
一体どんな訓練が、彼女の頭の中で展開しているのだろうか?
両手を大きく広げるメアリーを見ながら、町田青年は手回し式ライトのハンドルを回していた。
■メアリーの にっき■
きょうは ひじょーもちだしぶくろ? がきたよ!
ぶくろさんは いろんなものが いっぱいはいってます!
めーちゃんには ちょっとおもたい……でも おじちゃんが もってくれるって! やさしいね!
はんどるの ある ライトは ぐるぐるすると ぴかーってします!
ぐるぐるー ぴかー! ぐるぐるー ぴかー!
おもしろい!
これで なにがあっても あんしんだね!
あしたもいいこと ありますように!