4月18日
四月十八日。
最近の町田青年は、朝ご飯が終わると新聞を読む。
「……地震が多いですね」
「義援金とかの募集も始まってるみたいですよ」
「一口入れておきましょうか」
珈琲を飲みながらの朝は優雅だが、珈琲の飲めないメアリーにはちょっと退屈な時間だ。
彼女はテレビに目を向けていたが、やがて町田青年の読む新聞へ目を向ける。
「なんてかいてあるのー?」
「最近起きた、地震についてですね」
「じしん?」
「地面がぐらぐら揺れることよ。この間もあったでしょう?」
「あー!」
思い至ったのか、わざとらしくメアリーは手を打つ。
あの時は軽い揺れであったが、新聞に載っている場所の揺れは相当な物であった。
「……じしん、たいへん?」
「大変なことです」
「大事件よねぇ」
「たいへんかぁ……」
うーん、と少し考えるメアリー。
そうして、何かを思いついたのか、キョロキョロと当たりを見回し始めた。
「おじちゃん、おじちゃん」
「はい」
「じしんあったの、どっち?」
「……あちらになるでしょうか」
「そっか!」
九州の方角を教えてもらい、そちらへ向き直ると。
「……げんきーっ!」
思い切り、腕を伸ばし始めた。
呆気に取られている二人に向けて、メアリーは叫ぶ。
「げんき、おくるの!」
「はい」
「おじちゃんも、せんせーも、おくろ!」
「……自分達は現金を送りますから」
「メアリーちゃん、私達の分も元気送ってあげてね」
「わかったーっ!」
流石に元気を送っても届くか分からないので。
後で募金して来ようと思う、町田青年と夢見であった。
■メアリーの にっき■
きょうは きゅーしゅーの ひとたちに げんきを おくったよ!
きゅーしゅーの ひとたち げんきになーれって! おくったの!
とどくかな? とどくといいな! がんばれ!
おじちゃんと せんせーは おかねを おくるんだって!
おくった おかねで きゅーしゅーの ひとたち げんきに なるかな?
なるといいな! がんばれ!
たいへんなときとか つらいときとか たすけてくれるひとがいると めーちゃん すっごく しあわせだとおもう!
だから めーちゃんも みんなを たすけてあげれたら いいなっ!
あしたもいいこと ありますように!




