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4月17日


 四月十七日。

 今日も欠かさず、トレーニングだ。


「……おうまさんごっこ!」

「落ちないように、気をつけてくださいね」

「はーい!」


 腕立て伏せの為に、うつ伏せになる町田青年の背に、メアリーが跨っている。

 なんとなく戯れてみたくなったのだろう。

 対して重くはないので、特に責めることなく、町田青年は腕立て伏せを開始する。


「ぱか、ぱか、ぱかーっ!」

「ヒヒーン」

「ひひーんっ!」


 身体をメアリーごと持ち上げ、下げる。

 重みはあるが、特に辛いという訳ではないので、町田青年の腕立て伏せも順調である。

 が、しかし。


「……五十八……五十九……っ、六十……ッ」

「おじちゃん、だいじょうぶー?」

「大丈夫、です……っ」


 半分を超えた辺りから、徐々に辛さが出てくる。

 いつもならばいい運動である腕立て伏せが、ずっと重く感じるのだ。

 原因は言わずもがな、メアリーである。

 が、それは敢えて気にしない。


「……八十九……九、十……ッ」

「おじちゃん、がんばれ!」

「はい……っ」


 寧ろこれを乗り越えねば男が廃る。

 男らしさに欠けているとしても、自分だって男性なのだ。

 そう自らを奮い立たせ、残り僅かな上下運動を腕に強いる。


「……九十七、九十八……っ、九十、九……!」

「ひゃく!」

「はぁ……っ」


 そうして、目標の数だけやり遂げると、町田青年はゆっくりと伏す。

 メアリーに頭を撫でられるまま、彼は大きく息をついた。


「……いい運動になりました」

「おつかれさまでしたっ!」

「はい……」


 ゆっくり、ゆっくりと息をつきながら、メアリーの小さく、暖かな手を感じる。

 運動を終えた頭には、いささか心地の良い感触であった。


 ■メアリーの にっき■


 きょうは おじちゃんと おうまさんごっこしたよ!

 おうまさんごっこは おじちゃんの せなかに めーちゃんが のる あそびです。

 ぐんぐんして たのしい!


 でも おじちゃんが はーはー いって つかれちゃうから あんまりできないよ!

 きたえたら もっと できるかな? たのしみ!


 あしたもいいこと ありますように!


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