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4月14日


 四月十四日。

 今日も今日とて、商品開発を怠らないのが町田青年だ。


「今日はこの様な物を用意してみました」

「れもん!」

「レモンスカッシュです」

「すらっしゅ?」

「スカッシュ」


 取り出したるはレモンと蜂蜜、そしてガムシロップ。

 レモンは一個丸々をスライスにし、砂糖と蜂蜜に漬け込んでいる。

 それを大さじで掬うと、三匙程をコップへと注いだ。


「これに、サイダーを注ぎます」

「おー……!」


 しゅわしゅわと音を立てながら、サイダーは琥珀色に染まる。

 メアリーの髪色と同じそれを、町田青年は手で飲むよう促した。


「いただきます!」

「どうぞ、召し上がれ」


 手を合わせた後、迷いなくメアリーはレモンスカッシュを口に含む。

 ぱちぱちと口の中で泡が弾ける中で、酸っぱくも甘い味が舌に染み入った。

 目を丸くしながら、メアリーは口をすぼませた。


「……ほっぺのうらが、きゅーってする!」

「酸っぱかったですか」

「うんっ!」

「……おいしかったですか?」

「うんっ!」

「良かった」


 メアリーの笑顔に、ホッと町田青年は息をつく。

 えへえへと笑っていたメアリーだったが、ふと何かに気付いた。


「ね、おじちゃん」

「はい」

「まだ、おみせひらいてないのに、めーちゃん、サイダーのんじゃった!」

「あー……」


 そういえば、と町田青年は、夢見が「サイダーは一日一杯まで!」と言っていたことを思い出す。

 このままだと開店後に、ご褒美としてサイダーをあげられないのだ。

 なので……。


「……夢見さんには、ナイショで」

「はーい!」


 二人だけの秘密にすることにした。

 にひ、とメアリーがいたずらっぽく笑うのを見て、町田青年は軽く目を閉じて頷いた。


 ■メアリーの にっき■


 きょうは めーちゃん レモンスカッシュと サイダーを のんだよ!

 でもでも せんせーには ナイショ! ナイショです!


 ナイショだから めーちゃんは はなさないよ!


 でも どっちも おいしかったなぁ。

 また ナイショ したいなぁ。


 あしたもいいこと ありますように!


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