4月10日
四月十日。
今日は、夢見が甘いものを買ってきた。
「……サイダーですか」
「安かったし、買っちゃいました」
「言ってくれれば、二階まで上げたのに」
「あー……うん。次からはそうしてもいいです?」
「勿論」
瓶ではない。安物の、缶サイダーである。
近場にある商店街では、こういった安い品を仕入れている店もある。
夢見が手に段ボールいっぱいの缶サイダーを買ってきたのも、その店の一つだ。
出処不明の缶を眺めながら、メアリーは呟く。
「……さいだー?」
「炭酸……独特なジュースです」
「ジュース!」
「冷やして飲むと、美味しいのよ」
「つめたいジュース……!」
途端、メアリーの瞳がきらきらと輝く。
次の発言は、もう二人には分かりきっていた。
「……のみたいっ!」
「夢見さん、コップ取ってください」
「はいはーい」
流れる様に、二人は缶を開けて、氷いっぱいのコップに注ぐ。
ぱちぱち、と、心地いい音が、閉店後の“MARY”に響き始めた。
■メアリーの にっき■
きょうは サイダーを のんだよ!
サイダーは ぱちぱちの ぶくぶくな おのみもの!
ジュースです! ジュース!
とーっても おいしいから いっぱい のんじゃいそうになるけど いちにち いっぱいに しよーって!
おじちゃんと おやくそくしました!
めーちゃんは えらいので おやくそくは まもります!
はやく あしたに ならないかな。
あしたもいいこと ありますように!




