1/76
序詩
大事な大事なむかしの思い出は
すっぽり抜け落ち見つからない
いくつもいくつも重ねた約束は
まるであぶくのように消えてった
ここから先はひとりだけ
らせんの道をひとりだけ
世界は変わらない
誰が傷つこうとも
誰が拒もうとも
誰がいなくなろうとも
つよくつよく信じた矜持は
握り締めた手の中でもろく崩れた
そっとそっと包んだ願いが
あの頃の未来へ届くことはなかった
あとは責めを負うだけ
鈍色の十字架を
世界は変わりゆく
すべてを隠して
すべてを忘れて
すべてを偽って