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前回の続きです

「っち。バカ野郎が」

行くあてもなく一人ただ夜道を歩く。

炭酸の抜けたコーラに口をつけ、一気に飲み干す。


いまだに殴る感触が手に残っている。殴りあうのなんて何年ぶりだろうか。


気が付いたら学校の校庭まで来てしまっていた。

「っ―――――。こいつは重症だな」


ああ、俺はあいつのことを考えていたさ。認めろよ、俺。

さっきだってあいつのことを言われたからあんなに怒ったんだろうが。

いや、いくらなんでもこんなに考えていても学校には来ないはずだ。


ふと人の気配があることに気が付く。


「いやあああああああああああああああああああああ!」

突如響く女の声。


刹那、あたり一面が静寂に包まれる。

「……空気が変わった?」

渉は息をひそめながら声のした方へと駆けつけた。



「ははは。この吸血変態野郎が!良いざまだなぁ!?」

そこにはなぜか時雨琴音が立っていた。手には包丁が握られている。

普段の彼女からは考えられないほど残酷な笑みで横たわる少女を蹴り飛ばす。

意識がないのか、少女はぐったりとしている。

――カランッ――――――

思わず手に握っていた空き缶を落としてしまった。


「…誰だ?隠れなくてもいい!でてきやがれ!」

琴音がこちらの方向をにらんでくる。

鬼の形相で睨みつけてくる。


逃げるべきか…?

いや、男としてあの少女を見捨てるわけには……。ここで逃げたら俺もバカ野郎になっちまう!


「琴音。俺だ、そこでなにしてるんだ」

「磯田…君…?」

琴音が一瞬我に返ったような顔をしたが、すぐに鬼の形相に戻る。

「貴様。この私のことを呼び捨てにしやがったな!」

消えたっ!?と思ったのは一瞬だった。気が付いたら目の前に地面が近づいていた。

抵抗するもそのまま顔面から落ちる。

「せっかくだ貴様から処刑を行ってやろう」


手に握りしめられた包丁の切っ先がこちらに向けられる。

ヤバイ。そう悟った時にはすでに遅かった。


へそのすぐ横あたりに冷たい感触が突き抜ける。それはやがて激痛へと変わった。「――っぅ―――!」

「アハハハハ!」

血と痛みが止まらない。

彼女は包丁を指したままぐるぐるとかき回す。

「ぐああっ!!」

「痛いか。助けてほしいか!さあ泣いてわびろ!そして靴を舐めるがいい!」

この変態サディスティック野郎がっ!

っく。このままじゃヤバイ。


――――ドンッ―――

とてつもない銃声が鳴り響く。冷たい鉄の弾が琴音を貫いた。

「ちぃ!くそがぁっ。やりがったか!」

彼女が振り返るとそこには拳銃を握りしめた仮面の少女が立っていた。

「その人から手を離せ。次はその脳天ぶちまくぞ」

「アハハハハ!まあいい。今日のところはこれくらいで手を引きましょうか。つぎこそ貴様の血を根絶やしにしてやる!」

琴音がそういうと真っ黒い闇が彼女を包み込み、やがて消え去った。

最近のガキはどっからこんな言葉を覚えてくるんだ。

夜はもとどおりの静寂さを取り戻したが、渉は気を失った。

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