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、、

「やっと終わった…」

魔梨亜は鞄を肩にかけると琴音の席に歩いていった。ショートホームルームが終わり、遊びに行くことを今朝に約束したからだ。


この話しを持ち掛けてきた当の本人は机に突っ伏していた。

いままでの授業などはどうでもよさげに気持ち良さそうに寝ている。

「琴音、いつまでも寝てないで起きなよ。」

身体を揺するが返事がない。完全なる熟睡。

「…。起きないみたいだから図書室行ってくるね」

意識のない琴音だが一応声をかけて図書室へと足を向ける。


………………


学校の体制としては珍しく時間構わず開いている図書室。いつものように1番隅の席にすわり、鞄から古びた本を取り出す。


うちの家系にだいだい伝わる吸血鬼について乗った本らしいのだが…。

どこの言語だかはわからず、家のものは誰も読めなかったが何故か魔梨亜にだけは読めた。

意味はわからないが月がでるまでの暇つぶしにはなる。

「Da,HvMws,Frt...Gya,Ra」

適当に単語を頭に浮かんだ発音とリズムで口ずさむ。息をするまもなく次のページへと進む。が、図書室の扉があけられ中へ数学の女教師の田中聖架たなかせいかが入ってきた。

「あれ、神月君…?なにを唱えて…」

私は先生には目をくれず唱え続けていると、急に目を見開き、肩を揺すってきた。

「待て!それ以上は読んではいけない!

「え?…ふぁぁ!?」

聖架は急いでマスクを下ろし、その勢いで唇を重ねて来た。いわゆるキスだ。

私のファーストキスは先生によって意図も簡単に奪われた。


しばらくその体制のままでいると、やがて聖架の方から静かに離れた。

初めてのことにいまだに唇が疼く。やばい、くせになっちゃいそう…。

「せ、せんせ〜…」

「神月君。何故君のような生徒があのようなものを…?」

聖架が忌ま忌ましいものを見るかのように古ぼけた本を睨みつけた。

「え…。どういう意味ですか?」

「さっき君が唱えていたのは妖術の準備呪文だよ。それにその本。一族の正当後継者にしか詠めないように呪縛がかけられているみたいだね」

聖架が当たり前のように話し出す。

妖術とかなに?呪縛?一族?

「その顔を見たところまだ自分の力を扱い切れてない見たいだね」

「あの、先生?」

「次の満月だ。次の満月の日に会おう。くれぐれもその本には触れないように。」

それだけ言い残すとなにごともなかったかのように去っていった。

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