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始まり.第一話
ポカポカとした日差しが入り込む五月晴れの朝。こんな日の窓辺ほど酷なものはない。
「…これをいい天気だなんて言い出したやつは誰なんだ」
5月14日7時6分。連休明けの登校日。
まだ誰ひとりとしていない教室で魔梨亜がうだる。
まだ朝だと言うのに、都心と言うのはどうしてこうも暑いのだろうか。いやわかってはいるのだが、単に自分が暑がりなのが原因だと決めつけ血を恨む。
魔梨亜の透き通った肌は誰もが羨むが、とてつもなく紫外線に弱く3時間もあたっていようものなら大火傷にいたる。また、目も陽射しには弱いのでいつも席は教室の隅だった。
朝は早起きで日が昇る前に登校し、日が暮れるまで図書室で暇つぶし。月の浮かぶ真夜中に買い物その他etcetera。
…生活習慣化とは恐ろしいものだ。慣れてからかれこれ二年だが、そんな生活を送りながらも病欠は一度もなかった。
それに朝早い教室は心地が良い。昼間は体育館にせよ図書室にせよ、無能でうるさい男子どもが多すぎる。
「マリちゃんおっはよ〜!相変わらず朝早いねえ」
静寂を破り朝からテンションMAXの時雨琴音が私のとなりへとすわった。