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修行と言うか拷問・・・・・?

2月で暇な毎日・・・・・・バイトしようか悩んでます。

誰かアドバイスしてください

side ディス


ここはハレス内都市学区、大魔法図書館に隣接する『魔法実習場』。四角形の巨大な石畳のリングとそれを覆うように作られている観客席があるだけのコロッセオみたいなところだ

名前からわかるとおりこの場所で都市学区内の学校に通う生徒達が魔法の実技を勉強するための場所らしい。しかし現在は正午過ぎ、これから一時間は学生は誰も来ないそうだ、だから俺の練習場所にはもってこいのところなのだが……


「というわけで修行をするぞ」


「どういう訳だ?」


〔キュ?〕


いきなり連れてこられた俺とクーは事情がよくわからず戸惑っている。昨日は結構疲れていたのか気絶するように眠り眼が覚めると太陽がすでに真上に来そうな時間帯になっていた(ほんの数分前のこと)

そして起きたばかりの俺と傍にいたクー(ただ単に服にしがみついていただけ)をレイエルが無理矢理引っ張っていってここにいるというのが現在の状況である

お腹すいたなぁ……朝飯どころか昼飯も食べてないし


「ライブラからは話を聞いている。まずは祝福の言葉を述べよう、契約成功おめでとう!」


「……ありがと」


満面の笑みで純粋に俺を祝福してくれるレイエルに対し俺は気恥ずかしくて少し小声で返事を返す


「だが依然にしてディスの力が不安定なのは事実だ。お前が契約した魔導書は全ての魔導書よりも恐らくは上だろう……だからこそその力の制御をまずしてもらう」


「制御……じゃあ魔法の練習はなしなのか?」


「最初はな、ディスが魔法の制御に成功したらライブラに上級魔法の扱い方を教えてもらえばいい。しかしお今のお前には上級魔法は早い」


「……制御できなければ危険か」


「そうだ、何度かディスが魔法を使うところを見たがお前の魔法発動には無駄が多すぎる。」


正論を言われて反論できない。俺の魔法発動は力任せだし


「魔法とは過去天才と言われた先人達が長い時をかけ、試行錯誤を繰り返してできた技術の結晶だ。力任せに発動するとその魔法の本来の持ち味や威力を損ねてしまう」


「……」


「ディスには才能がある。体術や剣術もそうだが特に魔法に関しては修行次第で誰よりも高みにいける、私はそう信じている」


「レイエル……」


レイエルはしゃがんで俺の肩を両手で抱えるように触る。俺に目線を合わせて言ったその声は力強く、眼もまた真っ直ぐと疑いの無い眼を向けていた


「自分に自身を持て、たとえディスがハーフだとしてもだ!」


「レイエルっ!?」


なぜかレイエルのも俺がハーフだという事がばれている。まさかライブラが喋ったのだろうか?まだライブラにかけられた尻尾隠しと耳隠しの効果は切れていないはずだが……ライブラの話だと最高48時間までかけられる特別性の魔法らしい


「……何時から気づいた?」


「違和感は最初にあった時、確信を持ったのはディスをここに連れてくる時だ。私がお前を背負った時お前の身体は年頃の少女とそう変わらない重さだった。あれだけの速力や筋力をだすにはかなり鍛えられた筋肉が必要だが、触ってみた感じからもお前にそんな筋肉は無い。ならば考えられる可能性は薬か人間ではないことしかない」


「たったそれだけで?」


「私はこれでも冒険者だ。相手に触れれば大抵の事はわかるさ……話は変わるが誰が何と言おうとディスはディスだ、ハーフだろうとなんだろうとな」


「やっぱりすごいな……」


流石はランクA冒険者、身体に触っただけで鍛えられているかどうかなどが正確にわかるらしい


「まぁ私は魔族だろうが人間だろうがあまり気にはしない。そいつがいい奴であれば誰とでも友になるさ……さて長話はこの位にして今日の修行だが、まだ本格的な修行はしない。今日は私と一日中組み手をしてディスの能力を正確に測る。お前の筋力・反応神経・頭の回転速さなど測ることは様々だ」


「わかった。クーは離れていろ」


〔キュ!〕


レイエルは魔銃を入れたホルスターを傍に置き、構えを取る。それにつられて俺も構えを取った

クーは俺の肩から


「言っておくが魔法は使用不可、基本的には格闘だけだ。腕、足、頭、身体の一部ならどこでも使って構わん」


「……全力でいいんだな?」


「当然だ、ひよっこの冒険者に傷をつけられるほど私はまだ衰えてはいない!」


「ならいくぞ!」


足の筋肉をバネにして一気にレイエルとの距離をつめ、拳を振り上げる


(レイエルとの筋力差はこちらに分がある……全力の拳ならば!)


「甘いぞ!」


「なにっ!?」


俺の全力の拳はレイエルの手のひらに当たった瞬間それまでの衝撃がまるで嘘のように止まってしまった


「ボーっとしている暇があるのか!!」


「がはっ!」


拳に気を取られている隙にレイエルの強靭な蹴りが俺のわき腹に決まり俺は蹴り飛ばされる


「ゲホッ!あっぁぁ!」


蹴られた衝撃でか腹の奥から喉、口にまで酸っぱく痛い胃液のようなものが吐き出されていく


「どうした、たかが蹴りだぞ?」


「これ……が……か?」


一発で俺の身体は既にグロッキー状態になっている。こいつ急所を思いっきりやったな……


「まさか一発で終わりな訳はないだろう?」


「ふざけるな……俺はまだいける!」


膝に手を当てて何とか立ち上がり、レイエルを見据える


「ふっそうこなくてはな。さぁ、早く来い」


「おおぉぉ!!」


俺もレイエルも再び構えを取り互いに拳をぶつけ合う




















side ライブラ


「おー、若い者は元気だねぇ」


今俺は、実習場で戦っている二人の戦闘を眺めている。なぜ見ているかと言われればあの脳筋レイエルに言われてディスの動きを見ている。実戦でわかることもあれば外からわかることもあるからな

……決してサボリじゃないぞ


「……にしてもどっちもいい動きするな」


二人の戦いを眺めながら率直に感想を述べる。今もレイエルの鋭い槍の様な拳もディスはギリギリだが回避している

レイエルの体術レベルが超人といえるほどの高さなのは昔からだがディスもまたそれについていくために喰らい付いている


(ハーフだから身体能力が高いのはわかるが……この成長速度の速さは素人じゃない)


初めて十分、二人は既に何百という拳や蹴りを決め合ってる。一発一発はもう一瞬、刹那のごとき速さで繰り返されているが、どちらも一発一発に強力な重みがある

最初の一撃からここまで驚くべき成長だ


「何をやってるんですか、兄さん?」


「シロ?」


背後から声をかけられ振り返ると呆れた顔をしたシクロがいた


「その呼び方は止めてくださいって言っているのに……まぁ、そんなことより何サボってるんです?」


「サボってねぇよ、レイエルに頼まれて動きを見てるんだ」


「動き……ああ、昨日の女の子……っていきなりレイエルさんと組み手ですか!?」


「ああ、勇気あるよな。俺なら死んでもやりたくねぇ」


昔の小さい頃とのレイエルのじゃれ合いならともかく鍛えて強くなったあいつと組み手なんかしたら身体中の骨がバラバラになることだろう


「レイエルさんとやったら組み手というよりはただ殴ってるだけですよ!!」


「いや、そうでもねぇな。結構まともにやり合ってるぜ」


互角とは全然いえないまでもディスはレイエルの動きに喰らい付いている。まだ一回もレイエルにはヒットしていないが徐々に掠る程度にはなっていた


「嘘……どっちも動きが見えない」


「だよな、俺も半分ぐらいしか正確に見れてないし。でも既に60発以上は決まってるはずだけどな」


どっちも筋肉だけでも超人といえるほどのものを持つ。単純な力比べならディスのほうが上だろうがレイエルにはそれを大きく上回る経験と実力がある。直感でディスの動きを先読みし拳や蹴りを最低限の動きで回避している


「すごい……話には聞いていたけどハーフでもこんなに再生能力や身体能力が高いなんて」


「…………」


(再生能力が高かろうが無理したら結局は駄目なんだが……)


ハーフだろうと魔族だろうと再生能力にも限界はある。詳しい原理はまだ誰も解明していないが魔族の再生力の元となっているのは一説によると全身を駆け巡る高魔力が原因と言われている。

身体の中を駆け巡る生命力の源となっている魔力を高濃縮した血液が体内を駆け巡ることによって欠損箇所を再生する、しかしそれは体内の血液と共に魔力も消費する。魔力が尽きれば再生は出来ない、そして再生というのは身体に大きく負担をかける

人間でも傷ができたら瘡蓋ができて、時間をかけて傷を治す、無理な回復は後遺症が残ったりする。勿論これはハーフでも例外ではない


(大の大人ならまだしも成長段階の子供のディスが多用すると後々大きく影響する……こんなことレイエルだってわかってる、わかってるはずなのに……)


なぜこんなにもレイエルはディスの修行を急ぐのか、若いうちは成長が早いというが根を積めるのはもっと良くない。なにがレイエルをこんなに焦らせているのか俺にはわからなかった


「……もしかして自分と重ねてるのか?」


「えっ?何か言いました?」


思わず出てきた俺の小さな独り言にシクロは敏感に反応する


「……いや、何でもねぇよ」


「?そうですか……とりあえず私は期限が近い書類の整理をしてきます。兄さんもあまり油を売っていないで早く仕事に戻ってきてくださいよ」


「わかってるよ、後一時間ぐらいで戻るさ」


シクロはそのまま実習場を後にしていく。あと一時間もすればどこかの学校が実習に来る、どうせそれまでしか使用許可が下りてないし、延長してやりたくてもやれないけどな


「まぁ、今のアイツなら別にいいか」


今のレイエルの顔はいつもしている無表情でも、しかめっ面でもなく笑っている。しかもあれは何かを楽しんでる笑い方だ。まるでディス自身の成長を自分の事のように喜んでいるかのように


「ディスペイアか……何というか不思議な雰囲気の子供だ」


見た目は他人が羨むほどの容姿をしているが中身はまるで男のような性格をしている事でもう不自然だが、並大抵の人間では敵わないほどの才能を持つ。傍から見れば恵まれた側の人間だ、一転を除いてだが……しかしそれらを全て無視しても何というか人を惹きつけるような独特の色香といえばいいのか、そういうのが全身から出ている気がする


(ここ数年、常に落ち込んでいたレイエルがあんなに笑ってる……会ってそんなに経っていない筈なのに、やはり不思議な子供だ)


ブレイズが自然解散した数年前からレイエル以外の全メンバーは戦うのを止めた、いや止めざるを得なかったとレイエル本人から聞いていた。そのレイエルもまた罪を償うように無償で人助けをしたり、無償で依頼をこなす等の善行の戦いを続けていた


「まぁ、今はアイツらの戦いを見ているか」


ディスの動きを見ていろとレイエルに頼まれてるから俺は時間一杯まで二人の戦いを観察していた



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