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泥棒って実際に何を盗んだかイマイチわからない

えー、予約投稿が間にあっているなら今は新年ですね。

みなさんあけましておめでとうございます!


今は、たぶん実家のほうに帰省していると思うのでいつも以上に感想の返信などが遅くなっております。ご了承ください

side ディス


「……ん」


眼を開けてみると、そこはあの魔導書の部屋だった。どうやら長い間寝ていたようだが窓の無いこの部屋は日の光が入らないため正確な時間はわからない

とりあえず俺は身体を起こし周りを見渡してみる


「特に変わったことは無い様だが……契約は成功したのか?」


部屋は俺が入ったときとあまり変わっておらず、俺自身何か変わったという感じもしない。かといって今までのが夢というわけでもない


「アイギスにも変化は……あれ?」


よく見てみると俺の左腕に装備していたアイギスが無くなっている。周りを探してみるがどこにも無い。どうやら落としたというわけでもないらしい


「いったいどこにいったんだ?」


誰かが持っていくとも考えづらい事だ。ここは隠し部屋だし


(あの魔導書が何かを知っているかもしれない……少し聞いてみるか)


「おい、俺の魔法媒体を知っているか?」


魔導書本体である巨大な宝玉に直接問いかけてみるが、宝玉はただ光っているだけで何も喋らない


「こいつ……喋る時はお喋りなくせに肝心な時は喋らないな」


反応が無いか試しに魔導書に触れてみたり衝撃を与えてみたりするが反応はない


「仕方ない」


俺は魔導書の部屋を後にすることにした。恐らくここにこのままここにいても仕方が無いだろう

魔導書の部屋を出てもとの隠し扉の部屋にまで戻ったときに俺はあることに気づいた


「扉が閉められている?」


扉というのは鎖で固められていたほうの扉ではなく壁に偽装していたあの扉の事だ。俺はここに入ったとき鎖の扉に気をかけすぎていてこの扉を閉める(正確には嵌め込むだが)のを忘れていた。

しかし今壁には扉が閉まった状態になっている


(誰かが閉めた……けどいったい誰が?)


今俺は得体の知れない不気味な何かを感じている

少なくともこの部屋に誰かが来たのだ。そしてそいつは契約を終えた俺の身体からアイギスを奪い去り、開いていた隠し扉を閉めた状態で立ち去った


(考えるよりも今はアイギスを盗んだ奴を捕まえるか)


俺は隠し扉を勢いよく押して開け、部屋を出た


このとき俺はもっと早く気づくべき事を忘れていた。一つは俺の腕に嵌っていたあの黄金のブレスレットもなくなっていたこと。そしてもう一つは、俺の首元に掛かっている剣のペンダントの形が変わっていることに……











「くそ、全然見つからないな」


アイギス強奪(置き引き)事件の犯人探しは難航していた。それもそのはず、俺は半日近くあの部屋にいたらしく外を見れば既に夜の暗闇になっていた。

俺があの部屋に入ったのは大体昼過ぎぐらいのはずだったし、盗んだのが契約直後だったとしても盗んでからは数時間が経過しているはずだ

一応この館内の殆どを調べているが、まだ館内を上手く把握できていない俺が探しても捜査に穴が出てあまり成果が出るとは期待できない


「唯一の助けはこれと緘口令か……」


館内のほぼ中央部に位置するここには、この大魔法図書館内の詳しい地図が張り出されている。

この地図を見る限り館内は結構広いが、一般人が入れる部屋は限られているらしく、ライブラたちの司書長室やらを含めれば半分以上が立ち入り禁止である

緘口令というのは俺は現在行方がわからないということでライブラ(どうせレイエルに脅されたからだろうが)が出したものだ。そのおかげで閉館までにここを出た人物はボディーチェックを受けている


(待てよ……俺が見つけた隠し部屋はライブラの司書長室がある二階の隅。つまり犯人は二階をうろつける人物、ならば少し特別な立場の人間の可能性が高い。だがそんな奴があの隠し部屋から出てくれば目立つし、もっといえばアイギスは結構嵩張るしボディーチェックでバレる……なら持ち去らずこの館内に残していく可能性が高い)


「この館内のどこか……それも人が滅多に立ち寄らず、管理者であるライブラの目も届かない場所は……あった!」


一階の一般図書の奥にある『閲覧禁止書庫』という部屋を見つける。まず人目につかないと言うのなら一般人が入れない場所、そして管理があまり行かないという点ならライブラが常に使ったりする司書長室は無い。

そして接客に使う部屋などは毎日のように掃除されたりするはずだ、ならば残るはここしかない


「行くか」


俺は閲覧禁止書庫に脚を進めた




閲覧禁止書庫は一般図書の奥の扉の向こうにある。扉には『立ち入り禁止』と書かれているが無理矢理入ろうと思えば入れないことも無いようだ


「扉の鍵は簡単に開く構造か……これなら入れるな」


扉の鍵は南京錠や、鍵穴があるような構造ではなく、単純にかぎ掛けが付いているだけで誰でも開閉できる

俺はかぎ掛けを横にスライドさせ部屋の鍵を解除する


「よし、これで……」


「そこで何をしてる!?」


「っ!?」


部屋の扉を開けようとした瞬間に誰かから強い明かりを向けられた。まずい、警備員にでも見つかったか?


「子供……?」


警備員らしき人物は逆光でよくわからないが体つきや声から女性であるとわかった

女性は俺を見て怪訝そうな声を上げる


「君、こんなところで何をしているの?」


女性は俺が子供だと気づくと優しげな感じで声をかけてきた。迷子の子供みたいなものだとでも思っているのか……だがこんな時間帯にこんな所に子供がいるわけないだろ、普通

近づくことで女性の顔がよく見える。少し目つきが厳しいが仕事が出来ますよ的な雰囲気がある秘書タイプの美人さんだ。髪も後ろで束ねていて、髪の色は綺麗な赤色


「……物を盗まれたから探している」


「なにを盗まれたの?」


「魔法媒体、大事なものだから一刻も早く見つけたいんだ」


「でも、この部屋にはないわよ。この部屋はね特定の人しか入ってはいけないの。それに……」


「けど、ここだけなんだ。探してないのは!」


「あっ!」


俺は女性の制止を無視して扉を開けようとするが……


「開かない?」


扉のノブはまるで何かで固められたかのように開かない


「ここは、何年か前に封鎖されたままなのよ。だから何年も誰も入ってないわ」


「そんな……じゃあいったいどこに……?」


(やはり、もう逃げてしまったのか?いや、それならボディーチェックで引っかかるはずだ。くそ、いったいどこに……)


「ねぇ、君」


「なんだ?」


俺が焦りながら思案していると女性に声をかけられた。俺はイラつきながらも振り返り、確認する


「君の魔法媒体ってそのペンダントじゃないの?」


「ペンダント?いや、これは……ん?」


女性に指を指されたペンダントをよく見てみると、デザインが変わっていた。前は二本の赤と青の剣が交差しているはずのものが、今は黒いダイヤの様な物でできた大きな剣のデザインに変わっていて、ペンダントの鎖は小さな宝玉の粒が


「いったいどうなってるんだ……?」


「?」


今の俺は全てが飲み込めずにいた。契約、そして直後に無くなった俺の魔法媒体、魔法媒体を盗んだと思われる謎の人物、そして変わってしまったペンダント


(全てはあの魔導書との契約から始まっている……)


「それより君の名前は?それになんでこんな時間にこんな所にいるの?」


「俺は……」


ここで名前を言ったら……たぶんレイエルのところに連れて行かれる、確実に。そして説教される、これも確実に


「……ひょっとして迷子になってた子かな?」


「違う、俺はレイエルが探している奴じゃない!……あ」


思わず俺はレイエルの名前を零してしまった。

しまった、さっきからレイエルの説教の事を考えすぎていてつい口が滑ってしまった


「やっぱり、さぁこっちに来なさい。みんな探していたのよ!」


「いや、俺は……」


言い訳する暇も無く女性は俺の手首を掴んで引っ張っていく


(無理矢理引っぺがすわけにも行かないし……どうしたものか?)


「レイエルさん、入りますよ」


俺があれやこれやと思案しているうちに魔王(たぶん間違ってない)の部屋前まで来ていた

そして女性がドアを開けると……


「ぎゃぁぁ!!!」


ライブラの悲鳴が聞こえる。レイエルに怒られているのだろうか?


「どうした、あと百回はあるぞ?」


「もう無理!勘弁してくれ!!」


レイエルが腕立て伏せ状態のライブラの背中の上に乗り、ライブラは必死の形相でレイエルに懇願しながら腕立て伏せをしている。腕がプルプルしてるな


「何を言う、まだ九百回程度ではないか」


「程度って何だよ、程度って!九百回は尋常じゃねぇよ!俺はボディビルダーかなんかかぁ!?」


ライブラが力いっぱい講義する。まぁ貧弱そうな体つきしてるし、ボディビルダー向きではないな、確実に


「はぁ、日頃からこの本だらけの部屋で仕事をしている貴様の身体を気遣って運動させたやっている私の気持ちを理解してくれないとはな……」


レイエルはやれやれと言いたげに手と首を振っている


「お前は馬鹿か!?日頃から運動してないのにこんな激しい運動は逆効果だろ!!」


「私はこの程度は軽いのだが?」


「脳筋のお前と一緒にするな!俺はお前みたいに猪突猛進タイプじゃないんだよ!!」


「ほぅ……どうやら仕置きが足らないようだな。あと一万回はプラスするか?」


「桁が違うぞ!?」


一万回か……俺でも無理だ。たぶん、腕が百回ぐらいつるかな。というか前にも言ったがライブラは下手なことを言わなきゃいいのに……


「はぁ、何時までコントをしてるんですか?」


女性がため息を吐き呆れた声で二人に歩み寄る


「おぉ!シクロか、よくきてくれた!!早く俺を助けて……くれ!」


「まったく……どうせ兄さんがレイエルさんに失礼を働いたんでしょ?」


「兄さん!?」


俺が仰天の声を上げる。ってかライブラの声が死にそうになっているが大丈夫なのか


「ああ、そういえばまだ自己紹介してませんでしたね。私の名前はシクロ・ライブラ、ここにいるキウロ・ライブラは私の兄です。以後お見知りおきを」


そういってシクロは丁寧に俺にお辞儀をしてくる


「えっ?えっ?ええーっ!?」


驚愕の事実にこの館内中に俺の声が響いた。だって全然似てないし……

シクロについてはまた次回で説明します

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