閑話 大魔法図書館までの行き道 1
ただいま主人公が気絶中なので閑話扱いで行きます
side レイエル
「えっ?うわっ!!」
「あ…」
あいつを投げた時にディスを巻き込んでしまった。ディスは打ち所が悪かったのか気を失ってしまったようだ
「痛つっ~。なにも投げることはないだろ!」
あいつ…金髪の男は立ち上がり先程とまるで違う口調で喋る
「…趣味の悪いジョークのせいだ。今回は誰をマネた?」
「第三部隊隊長のミリースの奴さ。こいつ性格悪いので有名だからな。ちょっとだけ顔を借りたんだ」
自分の顔を指差し屈託なく笑い、自らを否定する金髪の男
「よりにもよってそんな奴の顔を使うなよ…ライブラ。」
「わるい、わるい。インパクトあるかなって思ったけど逆に俺がインパクト食らっちまったしな」
金髪の男は自分の顔に杖を当てる。するとそこにはいけ好かない顔をした金髪の男ではなく、オレンジ色の眼にオレンジ色の髪、クールそうな顔つきをした男、私の旧友であり司書長であるライブラの姿があった
「またオリジナル魔法の実験か何かか?」
「まぁな。おまえにも昔見せたことのある魔法だ。覚えてるか?」
「ああ。確かあの時は顔はマネできたが身体をマネできなかった筈だったが?」
昔見たときは不完全で顔は女性に化けたのに身体は男性のままだったので最初は私の眼がおかしくなったのかと思った
「あれから色々と改良したんだ。今じゃ身体だけじゃなく声や服装までもマネできるんだぜ!」
「すごいじゃないか。だがその魔法に使い道があるのか?」
「結構使えるぜ。関係者以外立ち入り禁止の所に関係者の奴に化けて入ったり、兵隊に化けて王城に侵入したり、色々とできるし、女に化ければ女性用の風呂にだって…」
「全部犯罪じゃないか!!」
「ぐぉっ!…痛っ〜相変わらずお前の拳骨は容赦ねーな!!少しは手加減しろよ!」
ライブラの馬鹿に拳骨を叩き込む。というか最後のはもう女性である私にとってはかなり苛立ちを覚える内容だ
「犯罪をした奴にはこれくらいがちょうどいいだろ。」
「はぁ、そんなことだからモテない…あれ?」
「どうした?」
「…さっきから気になってたんだが、俺の下にいるこの子は?」
「ああっ!忘れてた!大丈夫か、ディス!」
「ぎゃぁ!」
ディスの上に乗っかっていたライブラを突き飛ばしディスを抱き上げる。頭を打って気を失ったせいか顔は若干苦痛にゆがんでいる。ついでに肩の上に乗っていたあの生物も気絶している。危機梟は当たる直前に飛んで回避したようだ
「痛っ!また突き飛ばされるとは…」
「ふぅ、無事か」
「俺が無事じゃねー!つかその子が気絶したのはお前の…ってあれ?」
「どうした?」
「…今まで気づかなかったけどその子はお前の子供か?」
今の発言でライブラの頭はいってしまったのかと一瞬私は思ってしまった
「…そんなw「嘘だぁぁ!!!」って聞いてない。」
急に頭を抱え狂ったかのように暴れだすライブラ。この態度に知らず知らずのうちに私の口から息が漏れる
「ちょっ!マジでか!?嘘だ、嘘に決まってる!」
「だからt「そうだ!これは夢なんだ!!」…錯乱してるのか、こいつは」
「あのがさつで凶暴で色気ゼロの暴力女のレイエルが結婚してるなんて…そんな事はありえない!!絶対夢だ!!」
…今の言葉で私の中の何かが切れたような気がする。そして今すぐこの男を殺したいほどの衝動に襲われた
「…もう一回言ってみろ」
「だからあのがさつで凶暴で色気ゼロの暴力女n「……」痛っ!あれ、なんで痛みが?夢なのに?」
私は無言でライブラの頭を銃でしばく。まだ正気に戻らないようだ
「夢なら覚ましてやろうか?」
「…まさか夢じゃない?現実?」
夢じゃないと気づくとライブラの顔が真っ青になっていく
「お前は夢と現実の区別がつかない程馬鹿なのか?」
「そ、そっすか。そ、そんなことよりレイエルさん?」
「…なんだ?」
「そ、その銃はいったい…?」
ガタガタと足が震え、声も震え何故か敬語で話すライブラ。なにがそんなに恐ろしいのだろうか私にはまるでわからない
「聞きたいのか?」
「っ!え、遠慮させていただきます!!」
最高の笑みでライブラに微笑みかけるが、ライブラは何故かさらに怯えてもう泣きそうな顔になっている
「じゃあ覚悟はできてるだろうな?」
「…暴力反対!」
「暴力ではないこれは摂関だよ、分別の無い餓鬼のな!!」
「いやだぁぁぁぁぁ!!」
逃走しようとしたライブラが余計にひどい目にあったのは言うまでもない
「スー…」
「よく寝てるな」
気絶したディスを背中に乗せおんぶをしている。寝顔は性格と違い子供らしく可愛い。起きているときは気を張っているのかいつも目を尖らせているディスもこういう時は都市相応の顔に戻るようだ
ディスが飼っていた謎の生物は気絶していたので一緒におぶっている。無意識のうちにディスの傍によっているところを見ると懐かれている様だ
「だな…よく考えたらこんな可愛い子がお前の子供な分けないもんな」
馬鹿はぼろ雑巾の状態から一瞬で回復した。まさにゴキブリ並みの生命力だ
「…もう一度殴られたいか?」
「え、遠慮しておきます!…ったく、ほんの軽いジョークなんだから少しは流せよ!」
「あれはジョークといわない。人を傷つけることを言う奴にはあのぐらいするのが妥当だ」
「チェッ!久々に偶然会った友人に冷たいな〜。」
「偶然じゃないだろ。私の行き先はおまえの職場だし、さっきからお前が見ていたのには気づいていた」
私達が服屋から出てきたあの時からいるのには気づいていたが放置していた
「へー、ってお前本なんか読めるのか?」
「失礼な。私だって本ぐらい読む。それに用があるのは私ではなくこの子だ」
「?こんな子供の為の本なんか置いてないぞ。児童本を買いたきゃどっかの本屋に行ったほうがいい」
「本は本でも魔導書だ。この子は一応魔法使いだからな」
「え…?この子学校出たのか?」
「出てないと思うが…それがどうした?」
「魔導書は最低でも初級魔法をある程度使える奴じゃないときついぜ?学校も出ていないようなこんな小さな子に魔法の制御は出来るのか?」
「そのあたりなら問題はない。この子は私より魔法が使える。それで十分だろ?」
私は小さい頃魔法使いとしての将来を約束されていた。その私が言うんだからディスの魔法の才能は天才という枠に収まるものではない
「お前より!?…それは末恐ろしいな。けどなんの魔導書だ?この子の適正がわからないと厳しいぞ?」
「それはこの子が決めることだ。だが私はこの子が『太陽の書』か『月の書』を扱えると思う」
「…お前が冗談言うなんてな。どういう風の吹き回しだ?」
いつになく真剣な眼差しでこちらを見つめるライブラ。いつもこんな感じだったらいいんだがな…
「私が冗談を言う訳ないだろ。この子にはそれだけの才能がある」
「なら馬鹿げてるとしか言えねぇ。あの魔導書は契約の仕方がわからない。それにあの魔導書にはどんな魔法があるかもわからない。そんな危険なものをこの子に使わせる気か?」
「……」
「ハッキリ言うけど無茶だぜ。それに魔導書の契約に失敗した奴がどうなったかぐらい知ってるだろ?」
「無論そんなことは承知している」
魔導書に記されている魔法を習得するためには魔導書・魔法媒体・使い手の契約が必要。このどれか一つでも条件にあわなかった場合は拒絶反応が発生する。拒絶反応は様々だが、良くて軽度の怪我悪かった場合は精神崩壊状態になってしまう。そうなった場合はディスは二度と口を聞くことも出来ないだろう
「わかっているなら止めとけ。そんな無茶をしなくても幾らでも魔導書はある。他のを選べよ」
「…この子には力が要る。それも大きな力が…」
「だからって他にm「それに決めるのはディスだ。本来私達がとやかく言うことではない」…」
「はぁ、そりゃそうか。だが魔導書の開示には司書長の、つまり俺の許可がいるぜ?」
「そんなものはどうとでもなる。要はお前の首を縦に降らせばいいのだろう?」
「なっ!そりゃどういう意味だよ!」
「お、電車が来たな」
「無視か!?」
ギャアギャア騒ぐライブラを無視して私は列車に乗り目的地である『都市学区』へと移動を開始した
キウロ・ライブラ
『能力値』
魔力量 A
筋力 D
防御力 B
魔法攻撃 A
魔法防御 A
魔法制御 S
使用可能魔法属性 火・光
『特殊能力』
・『法の番人』
初代ハレス王から現代に至るまでの全ての歴史を受け継ぐもの。戦闘には関係ない
・『光の加護』
光の素質を持っている者に与えられる能力。
光属性の魔法が使用可能になり、魔法の防御と制御の能力をあげる能力
『説明』
魔法大国であるハレスにある大魔法図書館司書長兼スプリム学院魔法実技担当外部顧問という二つの職を兼任しているが普段は結構暇にしている遊び人。だが魔法の指導している時は鬼のように厳しい。レイエルとは昔からの腐れ縁という噂が……。先祖代々から法律と記憶を受け継いできた由緒正しい一族、そのせいか少し性格が悪い
オレンジ色の髪と目を持つ
一人称は俺、性格は軽めだが場合によってはかなり厳しい