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買い物…金は?

今日は休みだといいなぁ

side ディス

「まずはディスの持ち物を聞きたい」


「あまり持ってないな…お金と武器を作る際に使った材料の余りとかで殆ど旅には関係ないものばっかりだし」


「…その大きなカバンは何の意味があるんだ?」


「気にするな」


このカバンはでか過ぎる尻尾を隠すためのカモフラージュなので当然中は空にしなきゃいけない。だからサイドポケット以外何も持っていない


「仕方ない…時間はかかるが地道に集めるか」


「最初はどこに行くんだ?」


「魔導具屋だ。あそこには魔法使いにとって必要なものが沢山ある」




移動中〜




「ここだ、色々と買うぞ」


宿があった場所から徒歩で三十分程で目的の魔導具屋に着いた。魔導具屋はなかなか大きく立派だ

レイエルは店の木でできたドアを開き店内に入る。

店内は外観と比べると少し暗い。さらに商品と思われる魔導具も不思議な雰囲気を出していて余計に不気味な感じを醸し出している


「色々あるんだな。…全部不気味だが」


商品はネックレスやブレスレット等の、身に着ける装飾品が多い。そして全ての物に宝玉やルーンがある。ここまでならいいがデザインが普通のより変わっているせいで不気味になっている


「まぁ、外見はそんなものだ。だが便利なのは保証するぞ」


「おや~、いつかの嬢ちゃんじゃないかい?」


店の奥から杖を持った老婆が現れた。老婆の顔はフードを被っていてよくわからない


「久しぶりです、店主。あの時会ってからもう十年以上たちましたね」


「はて?もうそんなにたっていたのかい…それで今日は何の用だい?」


「この子の為に魔導具が少しいるので、今日はそれを買いに来ました」


「そうかい、こんな娘がねぇ…」


老婆は俺をじーっと見つめている。実際には目が見えないのでわからないが


「まるで昔のお嬢ちゃんみたいだね。いいよ、好きなものを見ていきなさい」


「ありがとうございます、じゃあ早速…」


レイエルが手に取ったのは小瓶。だが瓶の入り口に何か薄っぺらいものがついている


「なんだこれ?」


「店主、少し使って見てもいいか?」


「構わないよ」


「ありがとうございます。ディス、これを持ってみろ」


瓶を渡されるがどうすえればいいのかわからない


「瓶の中に水属性の魔力を流すようにしてみるんだ」


「…おお」


言われたとおりに瓶の中に魔力を通していくと、入り口の何かを通過した瞬間に水色の魔力は透明な水へと変わっていく


「これは水属性の魔力を飲料水に変えるための物で旅には必需品だ」


「便利だな。これがあったら水には困らないし」


この大陸にも砂漠はあるので旅をするのに飲料水は必要不可欠


「次はこれだ。」


「…梟?」


〔〔〔〔〔〔〔〔ホーホー!〕〕〕〕〕〕〕〕


指を指した方向には大量にケージがおいてあり中にはフクロウがいた。梟達は一斉にこちらを見つめてくる。…怖っ!


「こいつらは鳥系の魔物『危機梟」といって、魔物だが人に対して攻撃性はなく、懐き易いうえにある能力があって旅には結構重宝される魔物だ」


「能力?」


「能力は二つ、同じ危機梟同士でテレパシーを行える事。これがあれば遠く離れた同じ梟を持つ仲間といつでも連絡が取れる。もう一つは驚異的な記憶力と高い知能だ。この梟達は一度見ただけで全てのものを覚えることができるから、それを生かして何処からでもその場所に行き着く事ができるんだ」


「へー、まるで携帯電話だな」


一つ目は電話の機能で二つ目のものはメール機能に近いし


「携帯電話…?ああ、コカーク大陸にある通信手段のことか。あれはあまり好きではないな」


この大陸じゃ電話は流行っていないのかもしれない。昔ながらのこの梟を使った通信方法がポピュラーなのかもしれない


「レイエルはこの梟を持っているのか?」


「今は持っていない。必要ないからな」


「なら俺も要らない、連絡を取る奴がいないし。それにこれ以上ペット的なものは面倒になる」


〔キュ!?〕


俺が普通に話せるのは三人だけなのであまり必要ない。後、いつもどおりな感じでクーが噛んでくる。ただ噛んでいる場所が肩なので他の人から出血していることが見えないのが唯一の救いだ


「もっておいて損はないから一応持っておけ。なんなら私も買うぞ?」


「レイエルが態々買う必要はないと思うが…仕方ない買うか。婆さん、さっきの瓶とこの梟一羽ください」


「あいよ、だが危機梟は懐かなければ飼う事はできんぞ?」


「どうやって懐かせるんだ?」


「簡単じゃよ、ほれ。これを食わせれば懐くわい」


婆さんから手渡されたのは四角形のペレットの様なもの


「こんなので懐くのか?」


〔ホー!」


四角形のペレットを梟の一匹に食わせる、すると梟はクーと逆の左側にちょこんっと居座った


「…肩が動かしづらい」


クーも梟も小さいが俺の身体も普通に小さいので肩に負担がかかる


「婆さん、会計は?」


「まだ待て、他にも買う物があるんだ」


「え?まだあるのか?」


「当然だろ、ディスがどう考えているかは知らないが旅は危険で厳しいことが多い。あっても損はないさ」


「そんなに必要ない気もするが…ん?」


適当に周りを見渡したら二つのアクセサリーが目に入り、何故かそのアクセサリーから目が離せなくなった


「どうしたんだ?」


「…いや、この二つのアクセサリーが気になって」


一つは赤色のゴツゴツした剣と青色の綺麗な剣がチェーンで繋がっているペンダント。もう一つは少々大きめの金色のブレスレットで表面には何かのルーンが刻まれている


(ブレスレットに刻まれているルーンはいったいなんだ?見たことがないからわからないし…だが両方とも何かを感じる)


「婆さんこの二つは魔導具なのか?」


「さぁね」


「さぁねって…知らないのか?」


「その二つはこの店を始めた時からあるものらしいからねぇ~、先代の店主にでも聞かないとわからないよ。しかもその二つはどういうわけか買う人を選ぶ性質があるのさ」


「へー、所謂曰く付きの物ってわけか」


「気に入ったんならあげるよ?」


「いいのか?」


「構わないよ、置いておいても誰も買わないだろうしね」


「ならありがたく貰っておく」


俺は剣のペンダントを首にかけて、ブレスレットを右手首にはめる。ブレスレットは大きいのでぶかぶか状態だ


「ディスも物好きだな」


確かに曰くつきといわれたら誰でも渋ると思うがこの二つのアクセサリーからは惹きつける何かがあった


「そんなことはどうでいいから、早く買うものを買わないか?」


「わかったわかった、店主、昔私が買ったものと同じもの一式はありますか?」


「あいよ、ちょっと待っといてくれ。今まとめてくるからね」


婆さんは店の奥のほうに向かった


「最初からああいえば良かったんじゃないか?」


俺のレイエルを見る目が若干ジト目になっている


「そんなに睨むな、私とディスじゃ必要なものが違ったりするから」


「…それもそうか。むしろ選んでくれたことに礼を言わなくちゃな」


「だから気にしなくていい、これは私のお節介みたいなものだ」


「待たせたね、はいこれ」


奥に行った婆さんが手に小さな袋を俺に手渡した


「ありがとう、婆さん。会計はいくらだ?」


「金貨二枚ぐらいでいいよ」


「そんなに安いのか?」


前にも言ったが魔導具は最低銀貨数十枚から金塊貨まである。この小さな袋の中には少なくとも十個程あり、普通に考えても金貨数枚はするだろう。それを金貨二枚は破格というよりおかしい


「道楽で商売をしているからね、別に値段なんてどうでもいいのさ。」


「…わかった」


俺はスッキリしないが婆さんに金貨二枚を手渡す


「では、店主、私たちはこれで」


「あいよ、今度は暇つぶしにでも来なさい」


俺とレイエルは店の外に出て通りを再び歩く


「…あ」


「?どうしたレイエル?」


レイエルが間抜けな声をあげてしまったという顔になった


「買うものがあったのを忘れていたんだ」


「今から買いに行けばいいだろ?まだ時間はあるんだし」


「いや、ここから逆の方向の店だからな…ディスすまないが、私が買いに行っている間は一人で行動してくれないか?」


「それは構わないが、何処に行けばいいんだ?」


「言ってなかったか?駅に向かえばいい」


「駅?列車を使うのか?」


「それが一番速いからな。この道を真っ直ぐ歩いていけば着くから」


「わかった、じゃあ先に行ってるな」


レイエルは来た道と逆側へと歩いていく


「そういえばあの婆さんは何を入れてくれたんだ?」


あの店で買ったものは肩に乗っている危機梟とこの梟だけだ。だから袋の中身が気になって袋の中を確認してみる

中に入っていたのは最初に買った瓶とよくわからない品が入っている


「後で使い方とか聞いとくか…ってあれ?」


袋の中身の事を考えていて気づかなかったが、いつの間にか裏通りの様な場所に来ていた


「おかしいな、真っ直ぐ歩いてきたはずなのに…?早く出よう、面倒なことに巻き込まれる前に」


こんな裏通りにいたら厄介な連中に絡まれるかもしれない。俺は来た道と逆側の道に歩いていくが一向に大通りに出れない


(いったいどうなってるんだ?道に出れないだけじゃなくて人気もまったくない)


大通りに出れないことも妙だが一番妙なのは人気がまったくないことだ。今は朝の十時ぐらいでたとえ裏通りでも多少人の声や喧騒が聞こえてもいいはずの時間帯…なのにそれらがまったくしない


「出ようとしても無駄ですよ」


「っ!誰だ!」


広場の様なとこに着いた途端声が聞こえ辺りを見渡すと、仮面で顔を隠した変な奴が現れた


「名前は名乗りませんが、目的だけは言いましょう。あなたを捕まえにきました」


「…なんでこんなにトラブルが多いんだろ?」


そろそろ自分がトラブルメーカーみたいに見えてきた


「クックック、おとなしく捕まってくれるとありがたいんですがね」


「嫌だ、俺は捕まえられる理由もないし、捕まる気も無い」


「これも依頼ですからね、諦めてください」


「絶対嫌だ!」


俺は左手のアイギスに魔力を送り戦闘体制にはいる

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