暇潰しが欲しい
すごい久々更新!実に一ヶ月近く投稿してなかった…本当にすいません。
やっとできたと思ったらかなり短いです、はぁ…。
side ディス
「暇だな…」
結局宿に戻ってもする事は無くただ部屋で暇をもてあましている。クーはまだ寝ているので構う相手がいない。
「暇すぎる…だがすることもない。」
暇なので水の魔力でできた球体を三つ使ってお手玉をしてみる。だが魔力の動きは自身で操作できるため簡単でやりがいはない
「レイエル起こすかな…。」
まだ朝食の時間にすらなってないが、早起きは三文の得っていうしたぶん起こしに行ってもいいはずだ。
「レイエル入るzっ!?」
部屋の中へ入ろうと、ドアを開けた瞬間俺の左頬を掠め何かが通り過ぎていった
「なんだディスか。他人の部屋にノックもせずにはいるな。」
「…だからって撃たなくたっていいだろ。」
もうちょい右だったら普通に天国行きだったな。俺は死なないけど。
「すまんすまん。いきなり入ってくるものだから敵かと思ってな。」
「こんな正面から堂々と入ってくる敵がいるなら見てみたいところだ。」
「だから謝っているじゃないか。そんなことでそんなに怒るな。」
「命の危機をそんなことかよ…はぁ。」
「またため息をついてるぞ。」
レイエルの小言も耳に入らないぐらい疲れた。
「それよりこんな朝早くになんの用だ?まだ朝食の時間帯でもないだろ。」
「…暇だから遊びに来た。けど今のでかなり疲れし部屋に帰る。」
「そうか…ってそれじゃお前はただ私を起こしに来ただけじゃないか!」
「結果的にそうなったな。じゃあそういうことで。」
ドアを閉め部屋から出る。なんか騒がしいような音が聞こえるがたぶんレイエルが騒いでいるのだろう
「…結局暇なままじゃないか。」
〔キュ…〕
「なんだ起きたのか。」
クーは寝起きなようだ。その証拠にまだベッドの上でモゾモゾしている
「…はぁ。」
クーはまだ寝ぼけているので何もできないだろうし、レイエルは暇潰しに行ったら命の危機を感じたので却下。
「またお手玉でもするかな。」
赤色、オレンジ色、黄色、緑色、水色、青色とカラフルな色の魔力球をお手玉のように右手から左手へ、左手から右手へとエンドレスにループさせる。見た目華やかなだけだが見る人が見たら仰天物の光景だろう。光りと闇以外のすべての属性が扱える証拠だ
「さっきの魔力球ができるか試してみるか。」
六つの魔力球を空中に停止させ、両手で火の魔力と氷の魔力を均等に混合させる。するとあの藍色の魔力球を創り出せた
「一回コツをつかんだら案外簡単にできるもんだな。」
お手玉は藍色の魔力球を新たに加えて継続するが、やっぱり退屈である。
「頑張って二度寝するか。」
布団に包まり目を瞑って寝る努力をしてみる
(目が覚めたら暇じゃないといいな)
そんなことを考えながら俺は眠りに着いた
意識が戻ると目の前は真っ暗闇で何も見えない
「此処は夢の中か…夢で意識があるなんてなかなか無いのに珍しいな」
なぜか瞬間的に此処が夢の空間だと気づいてしまう
〔ふふふ、勘のいいこと〕
「っ!?」
背後から大人の女性の声が聞こえ、振り返る
〔始めまして、といったほうがいいかしら?〕
そこにいたのは綺麗な和服を着た赤い瞳に獣の耳と尻尾がついている女性がいた。
「その瞳の色は…?それにお前はいったい?」
〔この瞳は貴女の片目と一緒。私のことは…説明しなくてもわかるわよね?〕
「俺と一緒?」
嫌な予感が俺の脳裏をよぎる
〔まだ惚けるのね…まぁいいわ。時期にあなたも逃げられなくなる〕
「…いったい何から逃げるって言うんだ?」
〔もう気づいているくせに…〕
そういうと女は目の前から消える
〔だって…〕
「っ!」
女は背後に回り俺の手を華奢だが紋様が浮き出ている手で撫でる
〔あなたの体は私と同化しつつあるのよ?〕
「嘘だ…嘘だぁ!」
触られている部分から俺の手に女と一緒の紋様が広がっていく
更に手だけじゃなく身体全体にも広がっていくのを見て俺はよくわからない恐怖に襲われ、女を突き飛ばす
〔乱暴ね。でもそれくらいじゃないとつまらないもの。じゃあね、もう一人の私♪〕
「ま、待て!」
一瞬だけ光が走ったと思ったら、俺の視界には宿屋の天井が見える。
「夢…だがただの夢ではなかった」
俺の腕には夢の中で見た女の紋様が出現し、脈を打つように怪しげな赤い光を放っている。
コンコン
「…っ、誰だ?」
ノックの音が聞こえたので慌てて腕を隠す
「レイエルだ、もう朝食の時間過ぎてるぞ降りて来い。」
「あ、ああ。もうそんな時間なのか。」
数分にも満たないと思っていたがあの夢は俺が寝てから一時間近くは経っていた
「わかった、準備してから行くから先に行っててくれ。」
「なるべく早くだぞ」
「これはどうするか…なぁクー」
〔キュー。〕
クーは完全に目が覚めたようだ。だが俺の腕の紋様は消えてない。
「でも左手だけなら文様は見えないか」
左腕につけているアイギスは手の甲から肘まであるので紋様は隠せるけど、右手は無理だ
「さぁ行くか」
〔キュー!〕
俺とクー(肩の上に乗っている)は食事をするために二階の部屋から一階の食堂へと向かった
「ふぅ、やっぱり料理はおいしいな。」
〔キュー!〕
今朝の食事はパンとシリアルの様な穀物を固めたものだが、それどもおいしく感じる俺は味覚がまずい気がする。クーは基本何でも食うので美味そうにシリアルを食べている
「よし、食事も済ませたし行くか。」
「…早いな。」
食後の余韻に浸る暇も無い程、急いでいるレイエル。よっぽど遠いのか?
「まぁ、そこまで焦らなくてもいいんだが…色々と寄りたい所があるからな。」
「真っ直ぐ行かないのか?」
「ディスに必要なものを色々と買いに行くんだ。今更だがディスの持ち物は旅をするには少なすぎる。この国には旅に必要なものがたくさんあるからな。」
「そうか、ありがとう」
「気にするな、此処までついて来てもらった礼もかねているんだ。じゃあ私は先に行くぞ」
レイエルは早足に宿を出て行く
「……せっかちな奴だな」
〔キュ!〕
クーが珍しく怒っている。まだ食べたりないらしい
「あらあら、もう行くのかい。」
「みたいだ。食事うまかった。」
「ありがと。よければまた此処によってね。」
「また泊まることがあったらな。」
俺はレイエルが待つ宿の外へ出て行く