4. 呼び出されちゃった…
数か月後。ボクはやっぱりギルドマスターから呼び出しを受けていた。
「いったいこれはどういうことだ! 説明したまえ!」
ろくでもないやつと思われてしまったか。まぁ、確かにそうだろう。原因はわかっている。ちょっと派手にやりすぎてしまった。
ドラゴンの冒険者業は軌道に乗りすぎた。
いま、ドラゴンの冒険者業は、ボクが付き添いをしなくても回るようになっている。
これはグランツの提案で、ボクが最初から最後までついていては、この買取ギルドの本質である「召喚士と甘える」という最重要時間がなくなってしまう。そこでチームからさらに小さなグループをつくり、交代制で回したらどうかと提案された。それぞれのグループのリーダーにはボクのいうことを特段よくきく班長の部隊をつくり、それぞれ班長がそれぞれのグループを統率する。
おかげでボクはつきっきりの付き添いはなくなって、それぞれの持ち場を巡回する役目になり、いくつもの依頼を同時並行してこなすことができるようになっていた。
しかし、その分、1日でこなす依頼の量がとんでもない量になってしまった。
できるかぎり人気がなく報酬も高くなくレベルも低いものを中心にとっていたからバレないとたかをくくっていたが、やっばり幹部格には気が付かれたわけだ。
ここはだんまりを決め込むしかない。しゃべったら負けだ。
しばらくすると、ギルド長ではなく、担当が副ギルド長になった。副ギルド長はそんなボクの作戦に気が付いたのか話題を変えてきた。
「金に困っているのか。一時期、かなりひどい表情をしていたぞ。」
「あ…」
確かにあのときは必死になりすぎて、最後はホーリーが来てくれなかった過労死だった。そうか。たしかにドラゴンのみんなの甘え方もすこし変だったし、ボクはそうとう荒れていたんだな。
「その節はお騒がせをしてすみません。開業直後だったものでいろいろと」
「気持ちはわかるが、オレもキミの背中をおした責任がある。これをみろ。こんなめちゃくちゃな依頼の受け方をしていれば体ほまた壊してしまうぞ。」
そういって副ギルド長はボクの実績表を出してきた。やっぱり副ギルド長はうまい聞き方をする。これは気が付いていなかった。
冒険者が依頼をうけるとき、ふつうは自分に合わせる。当然受ける依頼は自然と難易度が上がり、それに従って種類も討伐へと変わる。時々昔の恩でレベルに合わない孤児院からの採取依頼を善意で受けているひとはいるけど、それでもクエストの難易度は固定されて少しずつ上がっていくものだ。
しかし、ボクは仕事をさせるドラゴンに合わせていた。最近は新人が常に入るので見極めにとして難易度の低い仕事も継続して受けないといけない。結果クエストの内容も難易度もバラバラになってしまった。
「まるで学校の先生が教材を買いに来た目でみてますものね」
受付嬢にも気が付かれていたとは…。でも、学校の先生は的を得ているかもしれない。
副ギルド長はさらに「棚卸表(ドラゴン買取専門ギルド)」という資料を出してきた。
「こっちもだ。たしかにありがたい。ここまできれいな素材は確かにないしギルドも収入が上がった大助かりだ。だが、この量は異様だ。」
「ですから、これは討伐依頼が増えたことによる影響です。売却時に取引明細を出しています。」
こっちもバレている。素材の剥ぎ取りがうまいというちょっと変わったドラゴンがいて、そのドラゴンが「手伝ってあげる」と言い出して、ブレスで素材を乾かしたり、洗ったりしてくれた。そしたら同じようなドラゴンが出てきて、作業速度があがってしまった。とはいえ倉庫に入れていても仕方がないものだから遠慮なく出していたらこんなことに。それでもほかの冒険者たちの分と混ざるから問題ないだろうと思っていたが、ウチ専用の帳票があるということは、一人が持ち込む量はもちろん、パーティーが持ち込む量としてもはるかに上回ったわけか。
「商人を紹介するぞ。この量なら直接取引したほうがいい。手数料もバカになららん」
「やめておきます。商人に絡まれたらそれこそ面倒です。」
商人と取引してどうせ足元を見られるし、これは本来の目的ではない。「たくさんのドラゴンと大家族になって平和に暮らす」このためにやっていることだ。
ちなみに、これは、「いい商人を紹介してやるから、こっちの質問に答えろ」という取引をさせる気だ。まぁ、確かに。普通の冒険者でこの量の取引をするとギルドを介さないほうがお得だし、商人と懇意になれば、いろいろなものを安く買うことができる。
副ギルド長さん、受付嬢のお姉さん、ごめんなさい。あなたたちはどう思っているか知りませんけど、あなたたちをボクは味方とはみていません。だから、利用できるものは徹底的に利用させてもらいます。でも、用心しないと。
「じゃあ、無理はしていないんだな。」
「はい。ドラゴン養老院のみんなと楽しくやっています。」
取り調べはとりあえず終わったので席を立ったボクにまだ副ギルド長は執着している。
「この資料を提出してお前の名ばかりギルドをランクアップさせることもできるぞ。」
「お断りしましたが。」
「ランクアップすればギルドから融資が受けられるぞ。オレがいえば手数料は安くできる。自己資本でやっていくよりも楽なはずだ。」
「お断りします。借りてまで何とかしようとは思いませんから。」
副ギルド長が鋭い目つきでボクを見てきた。
「なにかほしいでもあるのか」
これはボクにいい条件を与えて情報を引き出そうという魂胆だな。だからこう言い放ってやった。
「ドラゴンの卵なら」
さすがの高級品に副ギルド長も慌てていた。
「おい、まて。そんな高級品、そんな簡単に手に入るわけねぇだろ。」
それじゃあ、キメてやるとするか。
「ボクには守るべき家族がいるんです。金なんかで動いたらみんなに示しがつきません。」
ボクに副ギルド長はそれ以上なにも言わなかった。
うん。言ってやった。いってやることができた。今日のボク、100点。
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家に帰ると、みんなが心配そうに集まってきた。
「みんな、ただいま」
あれだけ副ギルド長が譲歩をしてきたのも珍しい。ボクたちはガッツリ監視対象ということだろう。気を引き締めないと




