10. ボクのダメタメ勇者様
買取ギルドでカウンターで話をすることになった。
「やっと、話せる環境になった。」
「まぁ、一応、プロどうしとしてだけどね。」
「勘弁してくれや」
ここまでの大体の話を聞いた。ホーリーとさほど差はなし。
「つい、ついたの?」
「10日前」
はやっ!え、じゃあ、ポイにした日があるの? というか、ボクのおびえていた日々は何?それを隠そうとして奔走したのは何?
「いや、危なかったんだぜ。あのバカ、決闘するとか言い出してよ。」
「かんべんしてよ。殺されちゃうよ。覚悟してたけど。」
「ああ、同じ結論には至っていたのか。」
「だって、力で証明してみろとかいいそうじゃん。」
「フフッ、ちげえねぇ。」
「で、当のバードは?」
「おいてきた」
「は?」
「めんどくさいからおいてきた」
ボクは慌てて店のおくへ
「本家捜索隊 出動!」
あわてているなか、サードがひとこと
「だいじょうぶだって。メンヘラだもん」
「メンヘラってわかってんなら、おいてくる前に、ちゃんと前もって言え!」
外にでるときに、サードのひとことが聞こえた。
「前もってじゃなくて、すぐにでしょ。」
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バードの顔を知っているのはボクとずっといる子たちだけだ。8頭の小さなグループを4つわけて捜索を開始する。
するとグルゥが走ってきた。
「ノア、みつけた。猫族のスラム」
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フェルメールのマジックローズ畑にバードが立っていた。廃人のように佇んでいる。マジックローズは独特の光を放つ。それゆえに幻影的だ。
ゆっくりと近づく。バードの口が何を言っている。もっと近づく。
「おれは…どうして…」
目には大量の涙。バードが泣いているとこ、みたことないな。
「許してくれ…許してくれ…」
そうか。わかった。マジックローズは気分を高揚させる麻薬でもある。とりあえず武器を持っていないことを確認。錯乱している可能性がある。
「うん。ないね」
鎧もつけていないことに気が付いた。じゃあ本当に宿からふらふらとここへ。ああ、心が弱くなっていると引き寄せられる匂いがあると聞く。これでさらに錯乱しているのか。
「バード」
今はきっと夢の中だろう。
「もどろう。」
バードをゆっくりと抱きしめたが、バードの体は硬直したままだった。
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<<バード視点>>
気が付くと、それはいつか見た景色だった。
ドラゴンが売り買いされているギルド、そしてそこのギルドのマスタらしく男、スノウ。残酷な景色。その中にある小さな安堵。あの予知夢の世界そのままだ
ふとやや大きめの傷のあるドラゴンがのっしのっしとこっちにやってきた。そいつはジロジロとオレの男を見つめると言葉を発した
「これがスノウを従わせていたものか。」
そういうや、バシンバシンと尾っぽで床をたたいた。オレ驚くと、
「ふん。くだらぬ。」
そして、奥から薬と水をもってきた白ローブの男。
「スノウ。このようなヤツ、救う価値もない。」
「まぁまぁ、それでも腐れ縁ってやつだからさ。騎士道は反するかもしれないけど、
どうか堪忍」
ともだち。
いや、これぞ家族だな。
いいな。オレもそこにいたい。
白ローブの男がフードをとった。なんと、やっぱりスノウだ。朝日が差し込んでいるから後光がさしているような気分。こいつこそ、選ばれし聖戦士だったとわかった。
「じゃあ、気分よくなったら教えて…」
そういうとスノウは去っていった。が、ドラゴンは許してくれなかった。
「恥を知れ!」
すさまじい轟音で俺は床に転げ落ち、頭を打った。
「いってぇ…」
そして思い出してきた。そうだ。オレは!
「スノウ!」
スノウは店の奥にいた。ぽかんとしている
「あれ、バード。もう?」
オレはスノウに向かって駆け出し、強くだきしめた
「ありがとう。ごめんなさい。」
俺の頭にも優しい暖かいものが充てられる。
「おかえり、バード。」
「ただいま、スノウ。ごめん。つらい思いばかりさせてオレが悪かった。」
あきれたような溜息が聞こえた。
「うん。まあね」
こいつこそ聖戦士だ。こいつこそリーダーであるべきなんだ。
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やっとバードが落ち着いて話せるようななった。まずはそれぞれに誤解があったことを謝った。でもバードはもう勇者はやらないとはっきりいった。許してくれるなら、ボクをリーダーして何かを始めたいと言っていた。
何言ってんだが、これはそうとうマジックローズを吸ったな。まぁ、時間がたってからもう一度聞いて、旅に出るなら断ろう。今の僕にはここの子たちがいるからね。
「さて、スノウ。人選のプロとて、聞いてほしいことがある。」
「やめてよ。」
「プロとして答えてほしい。」
「そうだね。プロフェッショナルだもんね。」
「お前は新しいメンバーはすべて面接をしていたな。」
「うん。そうだったね。ボクが繊細だからって」
「そいつらの名前と採用するときめた理由。覚えているか。」
ホーリーもやってきた
「野暮ことを聞くもんじゃありませんよ、ザード」
「大事なことなんだ。これはプロどうしの中の話だ」
アハハ。困ったもんだ。プロ、プロ。でも、そうだね。思い出してみよう
「まず、ここに来た時にはもう4人だったね。」
「ああ。」
「ホーリーはその前になる。えっと…そうだね。回復要員として誘ったね。」
「ええ、断りましたね」
「でも、聖魔法にすごいパワーがあると感じて、再交渉を続けた。」
「はい。私の誇りになりました。」
「ってところ。どう?」
「うん。」
ザードが紙に、「ホーリー、ヒーラー、100%」と書いた。
「ここまではいいんだ。こっから先が怪しさが出る。」
「うん。次はキッドだね。そうだ、ここで出会ったね。」
「そう…だったな。」
「私が今やっている孤児院の出の子でした。」
「理由は元気があってパーティーを盛り上げるから。ウチ陰キャ多いから」
「ハハッでも不思議な子だったねぇ。突然現れる不思議な子で」
その時、突然大きな明るい声がした
「そーだよー、キッドはげんきー!」
きがついたときにはもう、カウンターチェアにキッドが座っていた。
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「お前いつの間に」
「ボクも入れてー」
ボクといっしょにザードも笑った。そしてバードもホーリーも笑った。
「思い出したぜ。それでオレと一緒に話聞いて、人畜無害判定したんだ。」
「そうたね」
ザードが紙に、「キッド、げんき、100%」と書いた。
「そこにたという面ではリッジもだね。いつの間にかそこにいてさ。」
「おう。変なやつだったぜ。オレたちの話に割り込んで、メンバーみたいに顔していた。」
「で、面接したら緊張でまっかっか」
「ハハ、だから仕方がないから、スノウで個人的なお付き合いにして正式メンバーだな」
「うん。」
「じゃあ無害判定でいいな。」
「うーん。50% 50%かな。」
あれ? じゃあ、この流れだと裏切りはないな。ボクとの仲良しはバードのパーティに入るための演技だった。いや、そのあともボクとの個人的な付き合いが長いし。なんか違和感があるな。
胸の奥に、ひっかかりが残るぞ。
ザードが紙に、「リッジ ?、50%」と書いた。
「まって、そこ、"リッジ 知恵者 75%"にして」
「どうしてだ?」
「いや、そこまでひどいかなって。ファーストをとられた直前まで話をしてたくらいだ。
それに、あの卵のふ化はガッツが成功した可能性すらあった。50%だと変な気がする。」
「ニセの手配書もそういわれれば変ですよ。リッジはバードのサインをかなりの高精度でかけるはず。なぜ全然違うとわかるような偽物のサインをしたのか?」
ザードが口を指で抑えた。
「それは明日見てみよう。ギルドに保管されているはずだ。次は」
うん。えーと…
ん?
「あれ。ボクが面接したの、あと誰? あれ? この3人じゃない?」
ホーリーが驚いた顔をしている。
「え。記憶が飛んでいるじゃないですか。」
「そうかなぁ…きっと…
いや違う。やっぱり面接していない。
リッジが最後。
うん、リッジが最後で確定だよ。」
もう一度、ザードの書いたメモをみる。
「絶対ホーリーが一番!」
「私もそういう認識です。私入れて4人です。」
「ボクの段階で5人体制だよー」
あれ。おかしいぞ。
「リッジの加入で最後、これでおわりのはずだよ!」
ザードの声が低くなる。
「ビンゴだ。ガッツとサイモンを“選んでない” そうだよな」
「な、なんでいるんだ?」
キッドが手を挙げた。
「はい、どうぞ」
「あれじゃない? ほら、『地下広がる虹色の草原』」
ああ、懐かしい。地下迷宮なのに中は虹色の草原。ここのボスが強かった。
「強すぎでらちがあかなくてー。で、火力増強が必要という話になってー。
で、あの2人が臨時でしてー、そのままいついた。そうじゃない?」
「…その火力不足って誰が言ったっけ?」
「バードじゃないかなー」
それを聞いたザードがバードを見ると、知らんないふりをしていた。
「いってぇっ!」
「やっぱりてめぇじゃねえか。」
ザードのげんこつがバードに落ちた。




